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<福島首長に聞く>働く世代の帰還が鍵

福島県双葉町の復興拠点整備で中心となるJR常磐線双葉駅。東西を結ぶ橋上駅舎に改修する計画が進む
伊沢史朗町長

◎原発被災地の行方 双葉町/伊沢史朗町長

 −東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から6年9カ月。町民の現状は。
 「賠償を受けていることでいわれなき誹謗(ひぼう)中傷が続くなど、厳しい状況は現在進行形だ。これまでの人間関係が途切れた避難先での再建は難しく、年配者は就業機会も限られる」
 「町としては、少しずつでも復興へ進んでいるという明るい話題を提供することが、町民の頑張ろうという気持ちにつながると考えて取り組んでいる」

 −帰還困難区域のうち、JR双葉駅周辺の約555ヘクタールが9月、国の特定復興再生拠点区域(復興拠点)に認定された。2022年春までの避難指示解除を目標に掲げている。
 「役場が県外(埼玉県)に避難した唯一の町として出遅れ感があるが、認定は帰還困難区域を抱える7市町村で一番早かった。国が進める除染による放射線量の低減が最も大切。水などの生活インフラの整備も必要。町民が自発的に戻れる帰還環境が整って初めて解除を判断すべきだ」

 −放射線量が比較的低い北東部の避難指示解除準備区域と、双葉駅周辺の一部は19年度末までに先行解除する計画だ。
 「働く世代が戻らないと復興は達成できない。北東部に中野地区復興産業拠点を整備することで人の流れをつくり、雇用を確保する。JR常磐線の全線再開、常磐自動車道の双葉インターチェンジ(仮称)完成とも連動し、復興の状況を見てもらえるようになる」
 「中野地区にまず誘致するのは、廃炉関連企業や人材育成関係の研究施設、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の関連企業などが想定される。数社から進出の意向を聞いている。実績を生むことで新たな産業誘致につなげていく」

 −第1原発の廃炉への道筋の不透明さが、住民帰還の妨げにならないか。
 「発電所内の放射線量は相当低減され、原子力工学の専門家からは再臨界のリスクもほぼないと聞く。まずは客観的に現状を理解することが重要。最初に戻る可能性がある町職員が町民に説明できるよう、知識を得る機会をつくりたい」

 −避難先での町民の住宅再建が進んだ。町をどう存続させる。
 「避難先でより良い住環境を求めるのは当然。広報物を月2回発送している。情報を得られるタブレット端末の利用率も高く、町と町民はつながっている」
 「提唱しているのは『二地域居住』。避難先に家を持ちながら、町に滞在して復興していく姿を見てもらう。戻るかどうかは『じっくり判断してください』との考え方だ。負担が少なく町内に滞在できる仕組みも考えたい」
(聞き手はいわき支局・佐藤崇)


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2017年12月15日金曜日


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