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弥生以降に仙台平野襲った津波を研究 岩沼の斎野さんが論文「今後の防災に役立てて」

出版した論文を手にする斎野さん

 弥生時代(紀元前4世紀〜紀元後3世紀)以降に仙台平野を襲った津波を研究している宮城県岩沼市の斎野裕彦さん(61)=仙台市職員=が、研究成果をまとめた論文「津波災害痕跡の考古学的研究」を出版した。考古学や地質学、当時の社会的影響などを多角的に検証した。斎野さんは「今後の自然災害研究や津波防災に役立ててほしい」と話す。
 斎野さんの研究は、遺跡調査を基本とする考古学に加え、津波堆積物から津波の発生時期を推定する地質学や堆積学の分析方法を取り入れた。古文書の災害記述を調べ、津波の規模や被災後の集落の移動にも焦点を当てた。
 対象は仙台平野を襲った弥生、平安、江戸の3時代の津波。弥生時代の津波痕跡がある沓形遺跡(仙台市若林区)、平安時代の津波(869年)跡が確認された下増田飯塚古墳群(名取市)の資料、江戸時代の津波(1611年)の記述がある「駿府(すんぷ)記」などの文献を調べた。
 斎野さんは各時代の津波の被災状況を整理した上で、東日本大震災の津波痕跡と比較。「弥生時代は同規模かそれ以上、平安時代はやや規模が小さいと推定でき、江戸時代は津波痕跡がなく比較できない」と結論付けた。
 斎野さんは仙台市の文化財行政に携わってきた。今年3月に定年退職後、再任用され、埋蔵文化財の専門員を務める。論文は昨年9月、首都大学東京の博士号(考古学)を取得し、今年9月に出版された。
 斎野さんは震災で被災した岩手、宮城、福島3県の沿岸自治体や公立図書館、研究機関などに計120冊を寄贈。「自然災害の歴史を正確に理解するには多分野の連携が重要なことを知ってほしい」と願う。
 B5判258ページ。価格9000円(税抜き)。連絡先は発行元の同成社03(3239)1467。


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2017年12月17日日曜日


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