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<カイゼン>被災し再建した水産加工20社が導入 産業振興機構が指南、効果着々

メカブの袋詰め工程で効率化を指導する北川氏(左から3人目)=宮城県南三陸町のカネキ吉田商店

 東日本大震災で被災し再建した宮城県内の水産加工業者が、無駄を省く製造業の生産管理手法「カイゼン」を導入して効果を上げている。みやぎ産業振興機構(仙台市)の専門チームが工場のライン配置や作業手順の見直しを無償で指南。約20社が取り組み、生産性をおおむね2、3割向上させた。被災地の深刻な働き手不足を補う一助として期待されている。
 同県南三陸町でメカブなどを加工製造する「カネキ吉田商店」を7日、機構職員や専門家が訪れた。メカブの袋詰め工程で袋がたまっているのを早速見つけ、作業台の配置を変更。作業時間を秒単位で計り、カイゼンの道筋を付けた。
 専門家はソニー宮城OBでつくる経営業務支援業「イーノス」(仙台市)の北川泰副社長(62)。ソニーグループのカイゼンに携わった経験から「製造業に比べ、水産加工業はまだまだカイゼンの余地がある。モノが滞留する箇所にはロスがあり、1秒、1歩の短縮も積み重なれば効果は大きい」と意義を説く。
 機構は2016年、水産加工業に特化した支援室を設置。販路開拓や若手経営者の人材育成といった伴走型支援を始めた。
 生産性改善もその一環で、専門家が月1回、石巻市など沿岸の現場に入り「ムリ」「ムダ」のないライン構築を伝授する。業者からは「少ない人数で多くの生産ができるようになった」「作業負荷が減った」「在庫を削減できた」などの声が寄せられている。
 効率化は地道な工夫の積み重ねだ。箱詰め作業で手が空いた時間に、別の場所で行っていた梱包(こんぽう)をしたり、複数の工程をつないで人員を4人から3人に減らしたりといった具合だ。
 現場では当初、1人当たりの仕事量が増える懸念や、長年続けた手法を変えることへの戸惑いがあった。効果が目に見えてくると、現場から改善を提案するケースも出てきたという。
 カネキ吉田商店は2年間で9項目を実践。生産効率を維持したまま、残業時間を3分の1に減らせた。吉田圭吾取締役(28)は「今は人員を回せるが、年配の従業員が多く若手は集まりにくいのが現状。5〜10年後を見据えると効率化は欠かせない」と強調する。
 みやぎ産業振興機構の水産加工業ビジネス支援室は「深刻な人手不足や原材料の高騰など課題が山積している。現場が無理なく生産ができるように、カイゼンを導入する業者をさらに広げていきたい」と話す。


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2017年12月17日日曜日


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