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<回顧17みやぎ>(4)仙台パワーステーション問題/対話と理解なく稼働

周辺住民が運転差し止めを求める中、営業運転を始めた石炭火力発電所「仙台パワーステーション」

 東日本大震災から7度目の年越しを迎える。復興へと地道な歩みを重ねた2017年。被災地を置き去りにした解散風が吹き、大型選挙が相次いだ。学校現場では再び尊い命が失われ、問題の根深さが浮き彫りとなった。宮城県内であった出来事を記者が振り返る。

 「やっぱり地域との対話は欠かせないんだ」と素直に思えた。石巻市にバイオマス発電所の建設を計画する東京の企業が11月下旬、発電所から海に温排水を流さないと決めた。
 タービンの蒸気を海水で冷却するつもりだったが、地元は温排水で漁業や養殖業に影響が出ると訴えていた。企業側は県漁協と対話を重ね「このままではいけない」と、国内では採用例の少ない空冷方式を導入する決断をした。「地域と共生することが大前提」。担当者は語っていた。
 10月に関西電力系の石炭火力発電所「仙台パワーステーション(PS)」が仙台港で営業運転を始めた。環境に十分配慮したのか疑わしい稼働だった。地元の反発を思い返し、先の担当者の言葉をかみしめた。
 仙台PSだけでなく他の電力会社を取材すると、発電所を支えているのは、地域に生きている人々だと分かる。電力事業は地域の上に成り立つことが前提。環境や事故のリスクを極限まで減らし、それを受け入れる住民の理解なくして稼働できないからだ。
 仙台PSは、安全を最優先に運営すると説明していた。操業後に独自の影響調査を実施しているものの、事前に自治体や住民、専門家の意見を踏まえた環境保全策や安全対策を講じなかった。対話しようとする姿勢に乏しく、住民の安全安心が担保されなかった。
 そもそも石炭火発は地球温暖化防止の流れに逆行する。仙台市が環境影響評価(アセスメント)条例の対象に石炭火発を加え、県も3万キロワット以上の火力発電所を条例対象にしたことは、遅まきながら議論環境が整ったと受け止めたい。
 原発再稼働の議論を求められた県議が「原発はあくまで国の施策」とあっさり責任放棄する。住民が不安を覚えながら、首長も議員も納得する説明をしない。
 こうした県内の現状を見るにつけ、地域に対する責任放棄は、何も進出した企業に限った話ではない。あぜんとしてしまう。
 地域と発電所は切り離せない。国の方針や経済性を訴えても、地域との対話なき安全安心は絶対にない。(報道部・高橋鉄男)

[メモ]仙台市宮城野区の仙台港で10月に営業運転を始めた関西電力系の石炭火力発電所。出力11万2000キロワット。県内で石炭火発が営業運転するのは10年ぶり。排出ガスにより健康被害が出る恐れがあるとして、100人超の周辺住民らが営業運転の差し止めを求め仙台地裁で係争中。


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2017年12月17日日曜日


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