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<あなたに伝えたい>支えられ 見守られ 今は幸せ 

再建した自宅で、写真を眺めながら思い出を振り返るかほるさん=仙台市若林区上飯田

◎佐竹かほるさん(仙台市若林区)安勝さんへ

 かほるさん 夫は荒浜で漁師をしていました。毎日午前2時半には家を出て、漁に向かいました。お酒も飲まず真面目で、私に怒ったことは一度もない穏やかな人でした。懸命に働く夫の背中が一番心に残っています。
 震災前日、夫は唐突に「今度2人で旅行しようか」と言いました。それまで夫婦で旅行したことはほとんどなく、「行ってみたいね」と返すと、見たことがないほどうれしそうな顔をしました。あの笑顔は今も忘れられません。その日の「おやすみ」が夫と交わした最後の言葉になりました。
 夫が漁に行き、私が自宅にいる時に地震が起きました。私はすぐに車で南小泉小(若林区)に避難して助かりました。同じ町内会の人に聞くと、夫は近所の人たちを車で荒浜小(同)まで運んだ後、「母ちゃん(=かほるさん)が心配だから戻る」と自宅に引き返したそうです。後日、自宅近くのがれきの山から、夫の車のナンバープレートが見つかりました。
 近所の人たちは「安勝さんに運んでもらった。ありがとう」と声を掛けてくれます。最後まで人のために働き、私のことも心配していてくれていたんですね。
 家も夫の遺品も全て流されました。「何で1人で生きているのか」とばかり考えていましたが、家族や友達の励ましに支えられ、今は幸せです。お父さんが見守ってくれているからかな。3人の孫たちも元気に育っています。これからも見守っていてください。

◎最後まで人のために働いた夫

 佐竹安勝さん=当時(67)= 仙台市若林区荒浜で妻かほるさん(73)と長女弓子さん(50)の3人暮らしだった。東日本大震災時、車で自宅に戻った際に津波にのまれたとみられる。約3日後に近くの田んぼから遺体で見つかった。


2017年12月17日日曜日


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