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<里浜写景>オレンジ色に輝く海の宝物

日差しを受けて、赤みを増す干しアワビ。高い値段で売るには、形も大切。こまめな手作業による成形が欠かせない
アワビ天日干し=南三陸町志津川

 ちょっと離れて眺めたら干し柿に見えそうだが、さにあらず。アワビだった。柔らかな冬の光を浴びてオレンジ色に輝く。
 「お日さまと空っ風にさらす。今が一番、干しアワビを作るのに適している」。宮城県南三陸町志津川にある「カネキ吉田商店」の吉田信吾社長(59)が話す。東日本大震災の津波で海の近くにあった畜養場(いけす)が流されたが、7カ月後には再建。翌年から干しアワビ作りを再開した。
 三陸産エゾアワビの殻を外し、3日間塩漬けにすると黒い薄皮がはがれ、白っぽい身が出てくる。ゆでてから約2カ月半天日干し。重さは4分の1に減り、うまみがぎっしり。
 「干鮑(かんぽう)」と呼ばれる干しアワビは中華料理の最高級食材。「漁業者にとってアワビは宝物」と吉田さんが言う通り、海沿いの風と日の光によってオレンジ色の宝物が出来上がる。まさに垂涎(すいぜん)の風物詩。
(文と写真 写真部・佐藤将史)

[メモ]アワビ漁は11〜12月、天候や波の状態を確認しながら行われる。今年の水揚げ量は昨年に比べて少な目だが、身は厚めだという。吉田商店では今シーズン、合わせて約10トンのアワビを干す予定。出来上がった干しアワビは全て、香港に輸出される。


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2017年12月17日日曜日


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