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<災害公営住宅>収入超過世帯の家賃割り増し 月額21万円も「人口流出招きかねない」

岩手県陸前高田市に整備された災害公営住宅。家賃の割り増し負担が現実味を帯びる

 東日本大震災の被災世帯向けに整備した岩手県沿岸の災害公営住宅で、入居4年目から生じる収入超過世帯の家賃割り増しが問題化している。建設費の高騰で、通常の公営住宅に比べ割増幅が大きくなるためだ。家賃が払えずに公営住宅からの退去が相次げば人口流出に拍車が掛かると懸念する声も上がる。県と市町村は、家賃割り増しが本格化する来年度を前に対応を検討し始めた。
 3DK(65〜75平方メートル)の間取りで割り増し後の各市町村の家賃上限(試算)を見た場合、最大額は宮古市で21万3900円、大船渡市で20万6500円、野田村で16万5000円、陸前高田市で15万5700円となる。
 逆に完成時期が最も早かった県営住宅の家賃上限は7万7000円にとどまる。公営住宅の家賃には立地や建物の構造、資材費、人件費が反映されるためだ。
 県内の災害公営住宅は、11月現在で約5000戸が完成し、うち約4500戸に入居。県は収入超過世帯を約300世帯と見込む。
 陸前高田市内の災害公営住宅で暮らす自営業男性(50)は、自宅の再建を目指しており「災害公営住宅の家賃はできるだけ抑えたいのに、これでは生活すら大変になる」と家賃引き上げに不安を募らせる。
 市内では宅地造成が長期化する一方で民間賃貸住宅が少ないため、市建設課は「収入超過基準の緩和や、みなし的な家賃上限の設定を考えたい」と説明する。
 「共働きの若い夫婦や子育て世代の人口流出を招きかねないのではないか」。大槌町議会の12月定例会では、町議が懸念を表明。町は「公営住宅は、そもそも低所得者世帯のセーフティーネット(安全網)であり、福祉施策の意味合いが強い。子育て世代の活用は想定していなかった」と対応の難しさを口にする。
 東北の被災自治体では相馬市が本年度、減免規定に被災世帯が入居している限りは家賃を割り増ししない措置を追加。震災前から続くコミュニティーの維持を重視した判断だという。
 岩手県建築住宅課の担当者は「災害公営住宅間で家賃の不公平感をなくす必要がある。市町村とできるだけ足並みをそろえ、宮城や福島の状況も見たい」と話している。

[収入超過世帯の家賃割り増し]公営住宅法に基づく措置。所得額に応じて段階的に引き上げるケースもあるが、入居世帯には住宅明け渡しの努力義務が発生する。公営住宅は原則、月額所得15万8000円を超す世帯は入居できない。東日本大震災では特例により入居を認めた。


2017年12月18日月曜日


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