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<宮城・変わる高校入試>(上)日程一本化で負担減

 前期・後期選抜を一本化する宮城県公立高入試の新制度は、現在の中学1年生が試験に臨む2020年3月に導入される。入試期間の短縮は教員や生徒の負担軽減になる一方、受験機会が減る不安や、学力だけにとらわれない評価基準の不明確さを指摘する声も強い。13年度から5年で変更を迫られた入試改革の意義と、各校が独自設定する選抜方式などの課題を探った。(報道部・鈴木悠太)

◎2020年度導入を前に

<出願条件撤廃>
 「前期選抜で不合格になった受験生に対する精神的ケアの難しさや、入試の長期化で通常の授業時間が確保できないといった保護者、学校の要望に応えた」
 18日に県庁で記者会見した県教委の岡邦広高校教育課長は、新しい公立高入試制度の概要を発表し、見直しの狙いを説明した。
 現行と新制度の違いは表の通り。前期・後期選抜の2段階方式からなり、2カ月に及ぶ入試期間は大幅に短縮される。募集割合が限られる前期のハードルは高く、教員や生徒に過重な負担を与えていると変更を求める声は強かった。
 前期では「受験するための条件が厳しく公平性に欠ける」との指摘も多かったが、新制度では評定平均値などの出願条件も撤廃。中学の成績や出席状況にかかわらず、どの高校にも挑戦できるようになる。岡課長は「子どもの可能性が広がる」と利点を示す。
 「年間の授業計画に余裕ができる。新制度は一歩前進だ」。県教委に日程の一本化を訴え続けてきた県教職員組合の高橋愛一郎副執行委員長は、教員の業務軽減につながると前向きに受け止める。

<青森が先駆け>
 見直しに当たり、県教委は青森県の制度を参考にした。青森も入試長期化や不合格者の指導への難しさといった課題を背景に、15年度に2段階の学力検査を統一する仕組みを導入した。
 青森県教委の下山敦史指導主事は「受験機会が減少する難点もあるが、不合格を経験する生徒を減らせるメリットの方が大きい」と言い切る。3年が経過したが、大きな異論は寄せられていないという。
 1回の試験で二つの選考基準を設ける仕組みも青森に倣った。科目の配点比率を変えるなど、高校が独自の尺度で生徒を見極める特色選抜は、学校内外での活動成果も採点に加味。受験生を多面的に評価する前期選抜の特徴を継承した。
 青森商高では学力検査の比率を50%に抑え、部活動の成績などに応じた点数配分を高める。兜森(かぶともり)勝一教務主任は「学力の輪切りではなく、幅広い生徒の受け入れで学校が活性化した」と分析し、独自基準による選抜の効果を実感する。
 推薦制度を廃止し、複数回の受験機会や多面的な人物評価などを掲げて13年度に導入された現行入試は、わずか5回の実施で大幅見直しを余儀なくされた。
 県教委の高橋仁教育長は「生徒や学校の意向を検証し、早期の改革に踏み切った。マイナーチェンジを重ねながらより良い仕組みを目指す」と強調し、「混乱なく移行できるよう丁寧に周知を重ねたい」と話す。


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2017年12月19日火曜日


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