宮城のニュース

<宮城・変わる高校入試>(下)特色選抜 期待と懸念

夜の学習塾で勉強に励む中学生。新入試制度の導入に伴い、受験対策の早期化を指摘する声も出ている=仙台市宮城野区

 前期・後期選抜を一本化する宮城県公立高入試の新制度は、現在の中学1年生が試験に臨む2020年3月に導入される。入試期間の短縮は教員や生徒の負担軽減になる一方、受験機会が減る不安や、学力だけにとらわれない評価基準の不明確さを指摘する声も強い。13年度から5年で変更を迫られた入試改革の意義と、各校が独自設定する選抜方式などの課題を探った。(報道部・鈴木悠太)

◎2020年度導入を前に

 仙台市青葉区の五橋中に3年の長男と1年の長女が通う阿部典子さん(47)は「見直しは仕方がないとはいえ、兄と妹で入試制度が変わることに不安もある」と戸惑いを隠せない。
 現在の中学1年生は、2020年度からの新たな入試制度で最初の受験生になる。学力検査が1回に統一され、阿部さんは「子どものチャンスが減ってしまうようで少し心配」と率直な胸の内を吐露する。

<対策早期化も>
 仙台進学プラザ(若林区)の「一高・二高TOPPA館」で指導する鈴木雄介統括は「一本化で生徒の出願校選びはより慎重になるだろう」と分析。年々増加する保護者からの進路相談も、一層増えるとみる。
 入試対策が早期化する可能性も指摘。「一発勝負への懸念で、高倍率の学校を希望する子どもの準備が前倒しになるかもしれない。新たなニーズが広がれば、受け入れ態勢の検討が必要になる」と予測する。
 新制度は、学力検査の結果を基本としつつ、受験生の多面的な評価も重視する。特色選抜は各校で配点比率の変更が可能。部活動やボランティアなどの成果も選考基準となり、学校が独自の特徴を打ち出せる。
 宮城に先駆け、青森は同様の選抜方式を導入した。県内でトップクラスの進学実績を誇る青森高の成田昌造校長は、思考力や判断力に力点を置く大学入試センター試験改革の方向性に触れ、「多様な能力の重視は時代の流れだ」と話す。
 同校は独自基準の募集割合を県内で最も高い30%に設定し、学力検査にとらわれない方針をアピールする。成田校長は「多彩な個性を高校で伸ばし、力強く社会を歩める人材を育てたい」との考えを示す。

<主体的学びを>
 専門学科を持つ高校にとっては、特色選抜で個性を打ち出して受験生の関心を高め、出願者数の増加につなげようとの期待が高い。
 全国2例目の防災系学科として昨春開設された多賀城高災害科学科は、16年度後期入試に続き、18年度の第1回志願者予備調査でも倍率が1倍を下回るなど不安定な状況が続く。佐々木克敬校長は「選考方式の検討を重ね、学科の特徴を発信したい」と意気込む。
 一方で、県教職員組合は「配点比率の過度な弾力化は、生徒の学習に偏りを生む危険がある」と警鐘を鳴らす。選考が不透明にならないよう、施行後も生徒や教員の声に応じた改善を県教委に求める。
 県高校入学者選抜審議会の柴山直委員長(東北大大学院教育学研究科教授)は「制度の変更をあまり不安がる必要はない。主体的に学ぶ姿勢さえあれば、入試を乗り越える力は自然と身に付くはずだ」と基本の大切さを呼び掛ける。


関連ページ: 宮城 社会

2017年12月20日水曜日


先頭に戻る