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<回顧17みやぎ>(8)知事に村井氏4選/謙虚さ前面 姿勢転換

4選を決め、支援者と握手を交わす村井知事(右)=10月22日、仙台市宮城野区

 東日本大震災から7度目の年越しを迎える。復興へと地道な歩みを重ねた2017年。被災地を置き去りにした解散風が吹き、大型選挙が相次いだ。学校現場では再び尊い命が失われ、問題の根深さが浮き彫りとなった。宮城県内であった出来事を記者が振り返る。

 高揚感なき完勝だった。
 4選を果たし、一夜明けた10月23日午前の記者会見。「私の実力では届かない票数だと思った。重い責任を感じる」。共産党系の新人候補を大差で下した村井嘉浩知事の表情には、過去最多となる82万5460票の喜びより、むしろ重圧があるように感じた。
 急転直下の衆院選と同日選になり、投票率は2013年の前回知事選より16.71ポイントも上昇し、53.29%を記録した。県平均の50%超えは97年(55.86%)以来20年ぶり。村井知事にとっては得票数が底上げされる幸運に恵まれた。
 これまでの最多は93年、本間俊太郎氏が再選時に積み上げた64万7920票。村井陣営にとっては記録を更新し、どこまで得票数を伸ばせるかが焦点だった。70万票台との見立てを軽々と越え、「もう届かない数字」(中堅県議)と言われる金字塔を打ち立てた。
 多選批判をもろともせず、有権者の圧倒的な信任を得て権力基盤をがっちり固めたかに見えるが、村井知事は冷静に構える。「賛否両論の県政課題を強引に押し切ろうとすれば、『おごりだ』と批判の矛先が向く」(若手県議)との視線を意識しているようだ。
 4期目は謙虚な県政運営を前面に押し出し、初登庁の日から行動に移した。職員への訓示で「当選は皆さんのおかげ。遠慮なく話してくれれば、聞く耳を持つ」と呼び掛けた。
 トップダウンの県政運営や政策決定などの説明不足を巡り、すきま風が吹いた県議会の最大会派「自民党・県民会議」には議会重視をアピール。選挙後初めての11月定例会も、安全運転の答弁で乗り切った。
 低姿勢に徹して歩み寄る知事の姿勢に、「初心を忘れていない証拠」(ベテラン県議)と好意的な反応がある一方、「突然の変化で驚いている」(県職員)と戸惑いも少なくない。
 持ち味の強いリーダーシップで、県政をけん引した3期12年。4期目のシフトチェンジは求心力を高め、5選に向けた地ならしと深読みもできる。成熟期に差し掛かり、硬軟自在の巧みさを備えつつある「新村井流」から目が離せない。(報道部・吉江圭介)

[メモ]任期満了に伴う知事選は10月22日に投開票が行われ、村井知事が共産党系候補との一騎打ちを制した。有効投票数に占める村井知事の得票率は81.7%。知事が4期目を迎えるのは、5期(1969〜89年)を務めた故山本壮一郎氏以来となる。


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2017年12月21日木曜日


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