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<リンゴ王国 青森から>若手の新規就農に期待

山内さんの畑で収穫作業を手伝う弘前大医学部の学生=11月7日

 青森県西部に広がる津軽平野。「津軽富士」と呼ばれる岩木山の裾野一帯は、日本最大のリンゴ産地だ。後継者難や高齢化の影が忍び寄る一方で、「青森の代名詞『リンゴ』を守れ」と働く人々がいる。数々の熱い心意気に触れた。(青森総局・横川琴実)

◎未来の実(1)担い手

<30年でほぼ半減>
 「母親や知り合い、他の農家に頼んで手伝ってもらいリンゴを栽培しているが、みんな高齢化している。10年後はどうなるか」
 晩秋の11月、弘前市黒滝に広がる約1ヘクタールの農園。赤く色づいた主力品種「サンふじ」を収穫する山内敬三さん(51)の表情は、どこか不安げだ。
 国が5年ごとに実施する農林業の実態調査「農林業センサス」などによると、2015年の青森県の全農業経営体数3万6000のうち、リンゴ農家は約4割を占める。そのほとんどが60代以上。リンゴ販売農家数は1万3757戸と1985年から約1万3400戸減り、30年間でほぼ半減した。機械化が難しいとされるリンゴ栽培は、質量ともに手作業に頼る場面が多く、人手不足は痛い。
 青森市浪岡でリンゴとコメを作る深堀茂一さん(59)は「3世代以上前から農家を続けている。娘が2人いるが、この先は分からない。なるようにしかならない」とこぼす。センサスで、県内の全農家のうち「後継者がいない」と答えたのは5割以上。後継者不足は古くて新しい難題だ。

<補助労働を活用>
 明るい兆しもある。「少子高齢化の中で、担い手の減少は避けられない」(県りんご果樹課)現実の一方で、リンゴ栽培に関心を持つ若年層が増加傾向にある点に関係機関は注目する。県りんご協会が後継者育成を目的に続ける2カ年単位の「基幹青年養成事業」。10年前の参加者は60人程度だったが、第30期(2016〜17年)は85人にまで増えた。「近年、リンゴの価格が安定していることなどの好材料が要因」と協会。若手の新規就農に期待を寄せる。
 県も農繁期の人手不足の対策支援に乗り出した。今年は相馬村農協(弘前市)と連携し、農家と補助労働者のマッチング事業を開始。山内さんの農園で今秋、弘前大の医学部生2人が収穫と葉摘み作業に挑んだ。
 「小さな畑なので従業員を雇うのが難しい。学生と聞いて不安だったが、すぐに覚えてくれてよかった」と笑顔の山内さん。学生たちも「次も参加したい」と意欲的だった。
 後継者問題を含む人手不足は栽培面積の縮小、生産量の減少にもつながる。「労働力確保のための事業のほか、消費拡大に向けた広報活動に力を入れ、栽培面積を維持したい」と県りんご果樹課。将来を見据え、懸命の模索が続く。

[リンゴ農家の1年]リンゴ農家の1年は冬の剪定(せんてい)・整枝作業から始まる。農家は春に施肥と薬剤散布、夏に摘果作業を行う。収穫期は8〜11月。収穫と平行し、リンゴを赤く着色するための手入れをする10月ごろが、最も忙しいとされる。着色手入れには、日光を全体に当てるための「玉回し」「葉摘み」がある。


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2017年12月21日木曜日


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