宮城のニュース

<回顧17みやぎ>(9)中学生いじめ自殺3件目/甘い認識 対応に遅れ

生徒の自殺を受け市教委が初めて開いた会見。市教委に重大事態の認識はなかった=4月29日午後3時ごろ、仙台市役所

 東日本大震災から7度目の年越しを迎える。復興へと地道な歩みを重ねた2017年。被災地を置き去りにした解散風が吹き、大型選挙が相次いだ。学校現場では再び尊い命が失われ、問題の根深さが浮き彫りとなった。宮城県内であった出来事を記者が振り返る。

 どうして悲劇の連鎖を止められなかったのか。自問自答を繰り返してきた。
 仙台市青葉区の折立中2年の男子生徒(13)が4月26日、教諭2人に体罰を受けた上、いじめの被害を訴え自ら命を絶った。2年7カ月間に自殺した市内の中学生は3人目だった。
 今月6日、市教委の第三者機関「いじめ問題専門委員会」が本格始動。7カ月たって、ようやく原因究明に踏み出した。なぜ、こんなに時間がかかったのか。
 直接的な原因は、委員の人選を巡る遺族と市教委の考え方の違いだが、根底にあったのは市教委に対する遺族や関係者の不信感だ。
 市教委は当初、いじめと認めず、体罰があったことを明らかにできなかった。組織の隠蔽(いんぺい)体質や、いじめに対する認識の甘さが批判を浴びた。
 事実をキャッチし、市教委幹部に「原因はいじめではないか」と尋ねると、「いじめと決め付けてはいけない」と答えが返ってきた。重大事態という認識はなかったのだろう。
 5月に入ると、文部科学省の指導を受け、市教委は一転、いじめを認識していたと見解を変えた。遺族側の不信感は増幅した。
 「市教委が主体では、透明性や信頼性の観点から(調査が)困難だ」
 義家弘介文科副大臣(当時)は同月22日、奥山恵美子市長(同)と大越裕光教育長にこう言い渡し、市長の下で原因究明に取り組むよう指導した。市教委には自浄能力がないと、国に烙印(らくいん)を押された。
 子どもが自ら命を絶つ。なぜ学びやは、子どもにとって苦渋に満ちた場でしかなかったのか。子を亡くした親の悲痛な叫びを耳にしてきた。
 「息子の死は何だったのか」。2014年と16年にそれぞれ自殺した2人の生徒の父親らは、口々にやるせない気持ちを吐露した。「誰にも二度と自分と同じ思いをさせたくない」という強い訴えを感じた。
 一度失った信用を回復するのは簡単なことではない。郡和子市長は7月の市長選で「いじめ問題の解決に全力を尽くす」と訴えた。遺族の思いに応えるためにも、市長はリーダーシップを発揮してほしい。(報道部・八巻愛知)

[メ モ]折立中の事案のほか、泉区館中1年の男子生徒=当時(12)=が2014年9月、同区南中山中2年の男子生徒=当時(14)=が16年2月、それぞれいじめの被害を訴えて自殺した。いじめ対策を話し合う組織は、市教委本体を含め七つもあり、市は、総括する横断的な新部署を市長部局に設置する意向を示した。


2017年12月22日金曜日


先頭に戻る