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<リンゴ王国 青森から>りんご科のDNA残す

太田さんのリンゴの糖度や酸度を調べる生徒たち=11月21日

◎未来の実(2)高校教育

 弘前実業高の藤崎校舎(青森県藤崎町)には全国唯一の「りんご科」がある。青森県のリンゴ産業振興のため、県教委が1972年に設置。生徒が「マイツリー」と呼ばれる木を1本ずつ世話する独自の授業を通して、リンゴの栽培技術を学んできた。

<47年の歴史に幕>
 70年代は300人が在籍していたが、少子化などで生徒数が減少。本年度は2、3年生の計39人のみで、ピーク時の10分の1程度に落ち込んだ。県教委が2012年に募集停止を決めたことから、現2年生が卒業する18年度末に47年間の学科の歴史に幕を下ろす。
 「卒業後すぐに就農する生徒は最近少ない。学校の理念と生徒の意識のミスマッチが、減少の理由ではないか」と三上暁郎教諭(32)は背景を推測。木村智之実習教諭(59)は「昔は活気があった」と振り返りながら、学科廃止後に「実習農園の活用法が決まっていないのも不安だ」と語る。
 同校舎にあるのは現在、りんご科のみ。地元生まれの品種「ふじ」とのゆかりも深い。学科の存続を求め、署名は全国から5万8000以上も集まった。「リンゴ農家の担い手不足につながりかねない」と藤崎町のリンゴ農家太田昌文さん(62)ら同校卒業生も反対。だが、学科廃止の決定は覆らなかった。
 「藤崎校舎のDNA、記憶を残したい」。太田さんは自身の農園で育てた赤みの強いふじの枝木を母校に託した。生徒がリンゴの特長を調べ、校舎にちなんだ名前を付けて品種登録をする予定だ。宮城農高(名取市)など青森県内外の農業高にも苗木を贈った。「18年度末には県内の農業高に務める先生を全員集めて、剪定(せんてい)の授業もしたい」。太田さんはめげない。

<世界に通用する>
 県内でリンゴ栽培を学び、次代を担う高校生たち。その一つ、五所川原農林高の生徒には発奮材料ができた。同校は15年に高校で日本初となる国際認証「グローバルGAP」(農業生産工程管理)をリンゴで取得。16、17年にもリンゴなどで取得した。GAPチーム所属で3年の高橋なぎささん(18)は「授業を通し、自分たちが栽培したリンゴが世界でも通用することを知った。将来はリンゴの研究に携わりたい」と語る。
 「GAP取得以来、卒業生の6割以上が農業関係の企業や大学に進むようになった。学校全体の意識が変わりつつある」。山口章校長は確かな手応えを感じている。

[ふじ発祥の地]日本でも世界でも現在最も生産量の多いリンゴ品種「ふじ」は、1962年に青森県藤崎町にあった農林省園芸試験場東北支場で生まれた。果汁が極めて多く、甘酸のバランスが良いのが特長で、藤崎町の町名などにちなみ命名された。園芸試験場の盛岡市移転に伴い、ふじの原木も同市内へ移植された。弘前実業高藤崎校舎には、原木の株分け樹が植えられている。


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2017年12月22日金曜日


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