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<伝える〜被災地から>大川の誇り模型に刻む

模型を前に、地域について語る阿部さん(中央)ら=10日、石巻市釜谷

◎(下)残す/思い出いっぱい。どの地域にも負けない

<記憶たどり復元>
 忘れ難き古里が目の前に広がる。山、川、家々。その光景を目の当たりにした人々が涙ぐみ、思い出話をしながら記憶をたどる。
 東日本大震災で被災した石巻市大川地区の街並みを500分の1の大きさで復元した模型が11月以降、地元の釜谷集落のプレハブ施設に展示されている。
 復元プロジェクトを進める一般社団法人「長面浦海人(うみびと)」の小川英樹代表理事(36)は「大好きな大川を語り継ぎ、自然災害から命を守ることを伝承していきたい」と誓う。
 震災で大川地区は住民約420人が犠牲になった。9集落のうち間垣、釜谷、長面、尾崎の4集落が災害危険区域となり、約400世帯が移転を余儀なくされた。
 時がたつにつれ、住民の間で切実な声が上がるようになった。「自分の家の屋根の色が分からなくなってしまった」「街があったことを形に残し、暮らしの記憶を子や孫へと伝えたい」
 そうした心情を酌み、2016年にプロジェクトが動きだした。小川さんや釜谷集落で暮らしてきた阿部良助さん(70)、神戸大などが連携。住民らから聞き取った話を基に4集落を模型で再現し、建物や風景に色付けした。
 模型にアクリル片の「記憶の旗」が並ぶ。その数は約2700枚。懐かしい思い出や地域の歴史、震災当時の出来事などが記されている。「夏になるとシジミをとる」「お祭りの準備みんなで集まった」「後ろ見たら津波の壁」

<10年、20年後も>
 小川さんは尾崎集落にあった自宅が津波で被災。古里の復興に役立ちたいと、会社を辞めて漁師になった。「一人でも多くの人が大川に関心を持ってくれたらいい。10年、20年と模型を残したい」と志を立てる。
 神戸大大学院工学研究科の岡実侑さん(23)は約40人の学生と共にプロジェクトに参加した。「模型には多くの方々の思いが詰まっている。大川が立ち上がっていくためには、地元の若い人たちの力が必要だと思う」と話す。
 東北福祉大1年永沼悠斗さん(23)はプロジェクトで、住民や同世代の学生らとコミュニケーションを取り、潤滑油となってきた。
 長面集落の出身。地元の大川小と大川中で学び、野球に励んだ。「楽しい思い出がたくさんある。自然の豊かさや人の温かさはどの地域にも負けない」
 震災から7度目の年の瀬。仮設住宅に暮らす今でも、大川地区で生まれ育ったことを誇りに思っている。


2017年12月24日日曜日


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