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<リンゴ王国 青森から>新品種みんなで広げる

授業で「きみと」の糖度などを調べる弘前大の学生たち
弘前大が商標登録した「きみと」は、さわやかな甘みが特長だ

◎未来の実(5完)研究
 弘前大の藤崎農場(青森県藤崎町)は、リンゴの品種改良に心血を注いでいる。特に力を入れているのが、秋の葉摘みや玉回しといった着色の手間が省ける黄色系の育種だ。技術職員の佐藤早希さん(29)は「農家の省力化が私たちの研究の役割」と強調する。

<所得向上を支援>
 弘前大が1999年に品種登録した黄色品種の「こうこう」は蜜入りがよく、高糖度と味に定評がある。さらに最近、収穫から半月以内は糖度の成分「スクロース」が特に多く含まれることが分かった。
 藤崎農場は、もぎ取りから15日以内のリンゴを「逸品こうこう極(きわみ)」と名付け、3年前から大学のイベントで販売している。6個入り3200円と高価格ながら、限定20箱が毎年20分ほどで完売するという。
 佐藤さんは「農家の省力化に加え、高価格で販売できる品種の生産を提案し、農家の所得向上を支援する狙いもある」と語る。
 ただ、思うような広がりには至っていない。冬の剪定(せんてい)作業は高い技術が求められる。これが普及のハードルにもなっている。青森市内の種苗会社によると、青森県内のリンゴ生産量のうち、こうこうは1%にも満たない。

<期待の「きみと」>
 弘前大が期待するのが今年2月に商標登録した「きみと」だ。同大の林田大志助教(果樹園芸学)は「きみとの管理方法は『ふじ』と同様。糖度は約17%と甘みが強く、貯蔵性も高い『優等生』」と説明する。
 最大の課題は、黄色リンゴそのものの認知度の向上にある。県外には「いずれ赤くなる」と誤解し、保管してしまう消費者も。「一般的にリンゴは赤いというイメージが強く、栽培面積が急激に増えることはないだろう」と話す関係者さえいる。
 青森県りんご対策協議会によると、黄色リンゴの栽培面積は県全体の16〜17%程度。2006〜14年の8年間で3〜4%の増加にとどまっている。
 林田助教は「きみとの名前には『君と、みんなと一緒に広げていこう』という思いが込められている。既存の品種を育てている農家に積極的に栽培してもらうなど、普及に力を入れていきたい」と強調した。

[ルーツと広がり]リンゴの原産地は中央アジアやコーカサス地方、北部ペルシャ地方などとされている。青森県にはアメリカ人宣教師によって1875(明治8)年に紹介された。県内では現在、約50種類が栽培されている。最も生産量が多いのは「ふじ」。果肉が硬いことが特長の「つがる」、表面が黄緑色の「王林」と続く。


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2017年12月25日月曜日


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