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<ふるさと住民票>通勤で投票資格、特設サイトに応援団に登録…変わる「住民」のカタチ

工場に町外から通勤する人たちの多い愛荘町

 「住民」のカタチが変わりつつある。きっかけの一つが、住民登録のない人を「住民」と認める「ふるさと住民票」の広がりだ。居住地でない地域とつながり、「2枚目の名刺」でコミュニティーに参画する。進学や就職で都会に出た人が故郷のまちづくりに関わったり、地域にほれ込んだ「ヨソモノ」が地域活性化のアイデアを出したりする。土地に縛られない新しい共同体が、縮小社会に立ち向かう地域を支える。

◎町内に通勤で投票資格 滋賀・愛荘町

 滋賀県愛荘町(あいしょうちょう)は3月、住民に加え、町外から通勤、通学する人にも投票資格を与える住民投票条例を制定した。町の重要課題に通勤者らの意思を反映させる仕組みで、町によると全国初。町外の人にも配慮した投票方法など細則を作成中で、来年3月の施行を目指す。
 住民投票は、住民と町外の人の票を別々に集計して双方固有の意思を確認した上で、町長や町議会が結果を総合的に尊重するという制度になる見込みだ。
 人口約2万1000の町にはUCC上島珈琲など大手企業の工場が多く立地し、町内に約6000人が通勤、通学してくる。13年に策定した自治基本条例で、通勤、通学者も「町民」と定めている。
 町の担当者は「立地企業も含めて町が成り立つ。通勤者は納税しておらず、住民と全く同じ1票だとは評価できないが、意思を尊重するのは当然だ」と話す。

◎応援者増やし相互交流 岩手・大槌町、西和賀町

 住民以外の人とつながり、地域コミュニティーを維持する試みは東北でも始まっている。
 岩手県大槌町は16年4月、「大槌応援団OCHAN’S(オーチャンズ)」を開設した。住民や大槌ファンら約600人が応援団に登録。町の様子をブログで発信するなどして相互交流を深める。
 東日本大震災で被災した同町。復興支援などで町と関わった応援職員やボランティアと、帰郷後もつながるツールとしてサイトを活用する。町総合政策課の小笠原佑樹主任は「人口流出を補っていくには、地域に関わる人を増やすしかない」と強調する。
 同県西和賀町はかつての小学校区を単位に集落の情報誌を作り、首都圏などの町出身者に届けている。12年には「西和賀FANクラブ」も発足し、町外の約830人に情報誌などで町の出来事を知らせている。
 普段は離れていても、行事や祭りのときは駆け付けてもらう関係を目指す。町は住民以外の多様な構成員による「拡大コミュニティー」の形成に力を入れる。

[ふるさと住民票]地方自治体が申請に基づき住民登録のない人を「ふるさと住民」と認め、住民票代わりに「ふるさと住民カード」を交付する制度。登録者には行事やイベントの情報を提供し、住民と同様に公共施設の利用を認める。行政計画のパブリックコメント(意見公募)に参加できる例もある。進学や就職で故郷を離れた出身者、地域外からの通勤・通学者、ふるさと納税の寄付者、地域に愛着がある観光客やファンが登録するケースが多い。人口が減少する中、地域外の人と結び付きを強め、コミュニティー維持や移住促進につなげる狙いがある。政策シンクタンク「構想日本」が2015年に提案し、現在までに全国5市町村が採り入れている。


2017年12月25日月曜日


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