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東北の原子力施設で六ヶ所が独り勝ち 再処理完成延期で追加工事の需要が増大

大型バスや乗用車などで混み合う再処理工場正門前=25日午前8時20分ごろ、青森県六ケ所村(写真の一部を加工しています)

 日本原燃の核燃料サイクル施設がある青森県六ケ所村が好景気に沸いている。使用済み核燃料再処理工場の完成延期が繰り返され、追加の安全対策工事の需要が増大しているからだ。作業員数は工場着工直後の1990年代に迫る勢い。東北の他の原子力関連施設の立地市町村が苦境にあえぐ中、独り勝ちの様相を呈している。(青森総局・丹野大)

<ピーク時に匹敵>
 「経営は右肩上がり。今後も期待できる」
 六ケ所村泊地区のビジネス旅館「俺の宿」支配人の山本勇一さん(52)は手応えを語る。東日本大震災後に廃業したホテルを買い取り、昨年10月に開業した。
 工場近くの宿泊施設は常時満室状態だ。俺の宿は工場から約15キロ離れているにもかかわらず、宿泊客の9割を日本原燃の工事に関わる作業員が占め、数週〜数カ月間連泊する。
 2017年度の平均作業員数は8000人に達する勢いで、ピークだった90年代の1万人に匹敵。村内で吸収しきれない作業員は周辺の三沢市や野辺地町に宿泊する。周辺の飲食店や商店も好調で、工場近くのコンビニの売り上げは東北トップクラスとも言われる。
 原燃は22日、再処理工場の24回目の完成延期を表明した。村内経済の活況は今後も続くとみられる。

<空室続きため息>
 一方、東北の多くの原子力立地自治体は、東日本大震災の復興需要に下支えされる宮城県女川町を除き、青息吐息だ。
 「工事が止まれば一気に地獄行き。何度も死にたいと思った」。建設中の電源開発大間原発がある青森県大間町でホテルを経営する工藤竹美さん(88)はため息を漏らす。
 09年に銀行から1億円借りて建てたホテルは閑古鳥が鳴く。本格工事が止まっており、原発事故前に約1700人いた作業員は事故後300〜400人に激減。返済が重くのしかかる。
 青森県の原子力施設立地市町村懇談会で会長を務める宮下宗一郎むつ市長は「現状は『原子力産業』の表と裏を象徴している。地域の人々は存在し続けるが、産業は一過性」と指摘。既存の交付金の必要性を訴えつつ、「地域資源に光を当てて自ら稼ぐ力を付け、景気循環をつくり出す『仕掛け』を生み出す必要がある。国は地域の自立にこそ、支援するべきだ」と話す。


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2017年12月26日火曜日


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