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<原子力施設東北この1年>ミス続き 核燃サイクル停滞(2)

重要施設直下を通る「m−a」断層のトレンチを調べる規制委=11月
記者会見する原燃の工藤健二社長(左)=22日
損傷が見つかった排気ダクト=8月
建設中の海抜29メートルの防潮堤を視察する規制委のメンバーら=11月

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で、本格工事や稼働がストップした東北の原子力関連施設にとって、2017年は前進よりも停滞の意味合いが濃い1年だった。核燃サイクルの要を担う使用済み核燃料再処理工場で初歩的なミスが相次ぎ、工場の完成が大幅に遅れる見通しとなったためだ。
 来年は新エネルギー基本計画がまとまるほか、日本に核燃料の再処理を認めた日米原子力協定が期限満期を迎えるなど、東北の各原子力施設の今後を占う日程が控える。震災から6年9カ月が経過した各施設のこの1年を報告する。


◎活断層の議論長引く/東通原発 青森県東通村

 東北電力東通原発は、新規制基準適合性審査がまだ入り口部分にとどまっている。原子力規制委員会が敷地内の断層の一部を活断層と認定することに東北電が反発し、追加調査と議論が続く。
 審査の長期化を受け東北電は2月、2017年4月以降だった稼働目標を19年度以降に延期した。
 活断層だった場合に再稼働が許されない重要施設の直下にある断層は三つ。このうち「f−2」断層は活動性がないことが確認された。残る「f−1」「m−a」断層について規制委は11月に現地調査し、年明けにも評価が出る見込み。敷地内を通る「F−3」「F−9」断層の議論はそれ以降になりそうだ。
 東京電力は、隣接する東電東通原発(工事中断)を含む原子力事業を、他電力と統合すると再建計画に掲げた。東北電は断固拒否する構えを見せている。


◎審査中断 異例の事態/再処理工場・MOX燃料工場 青森県六ヶ所村

 再処理工場、MOX燃料工場の完成目標が3年ずつ延期され、それぞれ2021年度上期、22年度上期に先送りされた。日本原燃によるずさんな施設管理が露呈し、新規制基準適合性審査が中断されるという異例の事態に陥っている。
 8月の大雨で、非常用電源建屋に雨水が流入したことがきっかけ。原子力規制庁の保安検査で、原燃の点検者が過去に雨水漏えいの痕を確認できる写真を撮っていたにもかかわらず「問題がない」と報告していたことが分かった。
 非常用発電機の燃料油配管が敷設されたピットを点検しなかった上、別のピットの点検結果を日誌に記載していたことも判明。規制庁は保安規定違反とした。
 規制庁は原燃に対し、全設備を管理下に置くための実態把握を指示。安全上重要な設備の確認は終えているが、それ以外の設備の進捗(しんちょく)率は約10%にとどまる。


◎管理能力不足が露呈/ウラン濃縮工場 青森県六ヶ所村

 稼働中だったウラン濃縮工場が5月、新規制基準適合性審査に合格した。しかし、原子力規制庁からたびたび指摘を受けていた品質保証能力の低さが露呈し、日本原燃は9月からウラン生産を停止している。
 日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター(茨城県)で6月に起きた被ばく事故を契機に規制庁が8月実施した保安検査で、放射性物質の漏えいを想定した訓練などが実施されていなかったことが発覚。規制庁は「品質を管理するチェック機能が働いていない」と厳しく批判した。
 ほかにも部品の経年劣化でディーゼル発電機の制御盤から出火したり、吸排気ダクト44カ所で腐食や損傷が見つかるなど管理能力不足が露呈した。
 原燃は11月中旬から設備全体の確認作業を実施。進捗(しんちょく)率は屋外約28%、屋内は始まったばかり。ウラン生産の再開時期は未定だ。


◎建屋の耐震性が論点/女川原発 宮城県女川町、石巻市

 東北電力女川原発2号機の新規制基準適合性審査は、基準地震動(最大1000ガル)と基準津波(海抜23.1メートル)がおおむね妥当と評価され、地震・津波分野の審査がほぼ終了した。審査は来春に最終盤を迎える可能性がある。
 2013年12月の申請以来、審査会合は98回を数え、重大事故対策や耐震設計など設備分野の審査が加速し始めた。東北電は18年5月に主要な論点の説明を終えたい意向を示す。
 設備分野では、東日本大震災で原子炉建屋の耐震壁に幅1ミリ未満のひびが1130カ所入り、地震への剛性(変形しにくさ)が最大70%低下したことが大きな論点。東北電は「壁や屋根の鉄筋で建物の耐力は確保されている」と主張する。
 現地では、新基準対応の海抜29メートルの防潮堤や淡水貯水槽がほぼ完成。18年度後半までの安全対策工事完了を目指している。


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2017年12月26日火曜日


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