山形のニュース

鶴岡のSAKE 世界へ 地元ベンチャーがオリジナル日本酒

オーク樽で熟成させた「オルビア」で世界の市場に挑む稲川社長=鶴岡市

 山形県鶴岡市のベンチャー企業「WAKAZE(ワカゼ)」が、オーク樽(たる)で熟成させた洋食に合う日本酒を開発するなど、地元の酒造会社などと日本酒の新しい価値づくりに挑んでいる。酒造りの若手である「若勢」が「和の風」を世界に吹き込むという思いで名付けた社名の通り、固定観念にとらわれない手法で海外にも販路を開拓している。
 同社は昨年7月、拠点を東京から鶴岡に移した。慶応大出身の社長稲川琢磨さん(29)が、鶴岡で起業家を次々と輩出している同大先端生命科学研究所の関係者に刺激を受けたからだった。「新しい『SAKE(さけ)』を造り、日本酒を世界に誇れる文化として売り込みたい」と話す。
 今春発売した銘柄「ORBIA(オルビア)」は、ワイン造りに用いたオーク樽でフルーティーな甘い香りを加えた。オルビアは「SOL(ソル)」と「LUNA(ルナ)」の2種類。市内の老舗酒造会社「渡會(わたらい)本店」に製造を委託しているルナは、日本酒造りで一般的に使う黄こうじだけでなく、白こうじも活用し、酸味と甘味が調和したテイストに仕上げている。
 渡會本店専務の渡会俊仁さん(53)は「白こうじを使おうとするなど、稲川さんからの提案が率直に面白かった。流通面への心配からわれわれが手を出せないような酒造りに新しい発想で挑み、国内外へ販路を広げる姿に賛同している」と語る。
 ワカゼはオルビアの開発費を捻出するために実施したクラウドファンディングで、相性の良い洋食も提示した。目標額の4倍超が集まった資金などで、約1万本を製造。東京の一流レストランのほか、フランス、香港、シンガポール、タイにも出荷している。
 クラフトジンなどの発想を取り入れ、2018年3月には発酵段階で和のハーブやスパイスを投入する新銘柄「FONIA(フォニア)」を発売する予定。酒税法上は「その他醸造酒」扱いとなる製法で、酒田市の酒造会社「オードヴィ庄内」と挑む。稲川さんは「世界にSAKEを発信する拠点として、20年の東京五輪までに東京に直営店を持ちたい」と展望を描く。


2017年12月28日木曜日


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