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医療事故調査制度 活用進まず 報告48件、東北低調

 医療法に基づく医療事故調査制度の活用が進んでいない。制度が義務付けている「患者の予期せぬ死亡や死産」が起きた際の第三者機関への報告件数が、当初想定の半数以下にとどまり低調だ。制度の未活用は遺族から真相究明の機会を奪いかねず、医療機関の姿勢と患者側への周知が大きな課題となっている。(報道部・横山勲)

 国指定の第三者機関である日本医療安全調査機構(東京)によると、制度が始まった2015年10月〜今年11月末の事故報告は全国で計824件で、当初想定の年間1300〜2000件を大きく下回る。東北6県では計48件にとどまる。
 制度は、機構への届け出と院内調査、遺族と機構への調査結果の報告を義務付ける。調査には弁護士や大学教授ら外部の専門委員が原則として参加し、医師への聞き取りやカルテの確認などで事故原因を分析。遺族が調査結果に不服なら機構に再調査を依頼できる。
 ただ、調査対象にするかどうかは事故が起きた医療機関の管理者(院長)の判断に委ねられる。医療機関側が患者の死亡を「予期できた」とみなして調査に入らなかったり、制度を遺族に説明すらしなかったりするケースが目立つという。
 機構の医療事故調査・支援センターの担当者は「医療機関側は訴訟リスクや風評を気にして制度活用に消極的だ。院内調査が文化として根付くには時間がかかる」と話す。
 制度は昨年6月、届け出がない事故の相談を遺族から受け付けた機構が事故の起きた医療機関に確認する仕組みに見直された。しかし制度の存在が患者側に浸透しておらず、改善は道半ばの状態だ。
 医療訴訟で患者側代理人を担う弁護士らでつくる仙台医療問題研究会が毎年実施している無料電話相談会では、医療機関の説明に納得できない場合に対処方法が分からず戸惑う遺族が多いという。
 研究会の事務局長を務める十河弘弁護士(仙台弁護士会)は「制度の本来の目的は予期しない死亡事故の再発防止だ。法的責任が問われる事態になっても医療機関側の真相究明への覚悟や姿勢を示すことで、遺族や他の患者からの信頼獲得につながるはずだ」と指摘する。


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2017年12月30日土曜日


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