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<災害公営住宅>家賃軽減3県で差 福島、岩手→延長も 宮城→動き鈍く

 東日本大震災の災害公営住宅で、低所得世帯の家賃引き上げが2018年度から本格化する。国から自治体への家賃補助の交付金が段階的に縮小するためだ。補助制度の対象は岩手、宮城、福島の3県で1万7800世帯超。福島、岩手では負担軽減期間の延長など自治体独自の対応を始める一方、宮城では具体策を示した自治体はなく、3県で対応が分かれている。(報道部・門田一徳)
 国の家賃軽減事業は、家族構成など各種要件に伴う額を控除した月収が8万円以下の低所得世帯が対象。入居後5年間、家賃を安く抑え、6〜10年目は段階的に引き上げ11年目に一般の公営住宅の家賃水準に戻る。3県の対象世帯数(11月末現在)は表の通り。災害住宅で暮らす世帯の約4分の3に及ぶ。
 福島では原子力災害からの復興の長期化を見据え、既に自治体が対応を始めている。相馬市は今年4月、国の制度を基に軽減期間を20年とする市の独自策を打ち出した。全災害住宅の住民団体から延長要望もあった。市建設課は「復興途上にある居住者の実情を考慮した」と説明する。
 南相馬市は災害住宅の入居募集を始めた14年、軽減期間を20年に延長する制度をスタートさせた。いわき市も12月に延長の検討に着手した。
 岩手は県主体で対応する。県は、国の制度に相当する一般の公営住宅の家賃軽減策を震災前から導入しており、年数制限も設けていない。県は制度を説明する文書を8月、対象世帯に送り周知を図った。
 さらに、県営と市町村営の災害住宅で家賃格差が生じないよう、「県と同じような軽減を自治体に呼び掛けている」(県建築住宅課)という。
 一方、宮城の自治体は動きが鈍い。仙台、石巻、山元の3市町は来年4月に6年目を迎える災害住宅を抱える。3市町とも国の制度に相当する仕組みはない。宮城県も岩手県のような低所得者向けの制度は設けていない。
 仙台市には、入居者から軽減延長を求める要望が相次いでいる。市市営住宅管理課は「国への期間延長を求めると同時に、市としてできることを検討している」と語る。
 復興庁は延長に難色を示す。理由は災害住宅の建設費の自治体負担の少なさ。通常より多い9割弱を国が補助しているため、自治体が家賃から回収しなければならない費用は一般の公営住宅よりも少ない。国は既に手厚い対応をしている、という立場だ。
 吉野正芳復興相は12日の閣議後の記者会見で「復興庁としてきちんとした対応をしている」と述べ、軽減制度延長には否定的だ。


2017年12月31日日曜日


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