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<多酒多様>仙山圏ほろ酔い紀行(1)ワイン 栽培から一貫本場の味

ブドウの香りに満ちた醸造施設で行われたワインの樽詰め=2017年12月7日、上山市のウッディファーム&ワイナリー
木村義広さん

 東北の横軸、仙山圏には日本酒に加え、ワインやビール、ウイスキーから焼酎まで、名だたる銘酒の産地が東西に連なる。月内には国際ワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2018SAKE部門」の山形開催が決まる見通し。酒の話題が地域を盛り上げてくれそうな一年の始まりに、豊かな食文化や行楽を彩る仙山圏の酒造りの現場を訪ねてみる。

◎ウッディファーム&ワイナリー(上山市)

 日本ワインの人気を背景に近年、仙山圏でもワイナリーが増えている。宮城では10日ほど前、県内3カ所目として「了美ヴィンヤード・アンド・ワイナリー」(大和町)の醸造所が完成したばかり。山形には東北最古となる1892年創業の「酒井ワイナリー」(南陽市)をはじめ、東北最多の14ワイナリーがある。
 2013年に参入したウッディファーム&ワイナリー(上山市)。15個のタンクが並ぶ醸造施設に昨年12月7日、ゴム製ハンマーでワイン樽(たる)をたたく音が軽快に響いた。醸造責任者の金原勇人さん(31)は「酸化や菌でワインの風味が落ちないように、樽の内部に付いた気泡を振動で取り除いている」と話す。
 この日は、17年産のワイン用品種カベルネ・ソービニヨンを使った赤ワインの最後の樽詰めがあった。同社はタンクの下に樽を置き、ポンプを使わず重力だけでワインを流し入れる。これも樽の中での攪拌(かくはん)を抑え、空気による悪影響を防ぐ効果があり、本場フランスの伝統的な手法に倣った。樽詰めを終えると貯蔵庫で2年ほど熟成させる。
 ブドウ栽培から醸造、熟成、瓶詰めを一貫して行うワイナリーは「ドメーヌ」と呼ばれる。同社は国内でも数少ないドメーヌの一つ。原料の品種を全て6.6ヘクタールの自社農園で栽培し、年間2万5000本のワインを醸造している。取引先は主に山形県内の酒店や飲食店だ。
 同社はもともと1952年創業の果樹園。今も5ヘクタールの畑でサクランボやラ・フランスなどを育て、果物店や百貨店に直接販売するほか、一部はドライフルーツに加工している。
 社員は12人。金原さんら醸造担当も仕込みの時期以外は、畑で果樹の手入れに加わる。ワイン造りに理想的なブドウの栽培を自らの手で管理できるのがドメーヌの強み。ブドウの糖度や酸を高めるため、摘果作業などで収穫量を通常の半分近くに減らす。
 木村義広社長(71)は「糖の補充やろ過、加熱殺菌はしていない。味や香りから収穫年ごとの天候の違いを感じられる自然なワインを造りたい」と語った。

[メモ]上山市原口829▽午前10時〜午後4時(11月4日から翌年3月は平日のみ)▽有料の試飲のほか、4月〜11月3日の土曜日は見学もできる(要予約)▽023(674)2343

◎お供コレが乙/地産牛乳使ったチーズ/社長・木村義広さん

 2015年産ブドウを使った赤ワイン「Yメルロ」(750ミリリットル、3240円)は、酸とタンニンのバランスが良く、余韻が長く楽しめる。18度前後の常温で味わってほしい。程よく膨らんだ形のボルドーグラスに注ぐと最も香りが立つ。
 ワインのお供には、山形市の日本ワインとチーズの専門店「YAMAGATTA」が手作りしているモッツァレラチーズがお薦め。上山市の奈良崎牧場の牛乳を使い、ミルキーな風味が気に入っている。自社農園で収穫したシャインマスカットやイチジクのドライフルーツも相性がいい。

◎ちょっと寄り道

 上山市の「かみのやま温泉」は市内にある湯町、十日町、新湯などの温泉の総称で、21軒が温泉旅館組合に加盟。市、医師会などは温泉と食、里山歩きを組み合わせ健康保養地「クアオルト」づくりに力を入れる。
 同市は降水量の少なさや寒暖差がブドウ生産に向いていて、1920年にワインを造り始めたタケダワイナリーのほか、複数の醸造所新設の動きがある。毎年7月には「やまがたワインバルinかみのやま温泉」が開かれ、愛好家でにぎわう。
 宮城、山形両県のワイナリーの多くは見学を受け付けている。仙台国税局ウェブサイトのトップページにある酒蔵マップのバナーをクリックすると県別ワイナリー情報ページに移る。


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2018年01月01日月曜日


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