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<平昌への道>進化止めない絶対王者 羽生結弦、逆境に挑む

羽生結弦選手

 2017年8月、カナダ・トロント。フィギュアスケート男子のソチ五輪覇者、羽生結弦(ANA、宮城・東北高出)は宣言した。
 「五輪がある今季は最初から素晴らしい演技にする。自分の世界歴代最高得点を超える」
 絶対王者となった今も、勝利に飢え続けている。
 いきなりやってのけた。9月、オータム・クラシック(カナダ・モントリオール)。今季初戦のショートプログラム(SP)で、自身の持つ世界最高を塗り替えた。例年はスロースターター。気合の入りが違う。
 「ユヅルは常に渇望している」。トレーシー・ウィルソンコーチの羽生評だ。ソチの後、世界選手権を2度制し、SP、フリー、合計でいずれも世界最高を持つ。でも、立ち止まらない。理想の演技、勝利への渇きが羽生を突き動かす。
 以前はジャンプに強いこだわりを見せてきた。4回転ジャンプで世界を席巻したトリノ五輪王者のエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)に憧れた少年だ。高難度のジャンプに重きを置くのは当然だった。
 ソチで頂点に立った後も進化は止まらない。深いエッジ(刃)で氷を捉えるスケーティングを極め、技と技をつなぐ表現を磨く。ジャンプは前後のフットワークを突き詰める。あらゆる技の出来栄えで加点を引き出す。
 演技点は自然と上昇。全5項目で安定して9点台を記録するようになった。「何もかも得意だと胸を張れる」。屈指のオールラウンダーが生まれた。
 4年前は羽生とパトリック・チャン(カナダ)の一騎打ちだった。勢力図は変わり、平昌では宇野昌磨(トヨタ自動車)ネーサン・チェン(米国)ハビエル・フェルナンデス(スペイン)金博洋(中国)と、いずれもトータル300点台の記録を持つ猛者がひしめく。
 4回転ジャンプで世界をけん引してきた羽生。今や種類では、アクセルを除く全5種類を跳ぶチェンにトップを譲る。宇野が得意とするフリップは跳べない。それでも、総合力で群を抜く。武者震いするかのように常々言う。「ハイレベルな戦いだからこそ楽しい」
 今、逆境に向き合っている。11月、グランプリ(GP)シリーズNHK杯の前日練習。10月のロシア杯で成功させたばかりの4回転ルッツを跳び転倒、右足首を負傷した。治療に専念するため、NHK杯を欠場。5連覇の懸かるGPファイナル進出を諦める苦渋の決断だった。全日本選手権出場も見送り、ロシア杯以降、試合から遠ざかる。
 全ては平昌のため。プルシェンコも度重なるけがと戦った。苦難を乗り越え、表彰台の真ん中に立つ。その姿が、羽生には似合う。(佐藤夏樹)


2018年01月01日月曜日


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