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<18年東北経済展望>新たな産業創造推進を/日銀仙台支店長 副島豊さんに聞く

そえじま・ゆたか 京大卒。1990年日銀入行。国際局国際連携課長、函館支店長を経て2017年6月から仙台支店長。51歳。佐賀県出身。

 2017年の東北経済は明るい兆しの一方、東日本大震災からの復興や人口減少への対応といった課題が依然残った。18年の見通しや景気の本格回復に向けた方策について、日銀仙台支店の副島豊支店長に聞いた。
(聞き手は報道部・田柳暁)

<実感湧きにくく>
 −東北経済の現状をどう分析するか。
 「17年は緩やかな景気回復が続いたが、加速感に欠けた。所得環境がはっきり改善せず、実感が湧きにくい。18年も輸出主導の成長に引っ張られ、緩やかな回復が続くだろう。景気回復の力強さを最も左右するのは賃金の伸び。これがないと好況感が感じられにくい好況が続いてしまう」
 「震災の被災3県を中心に景気の底上げに寄与した住宅投資や公共投資の減少は下押しリスクになる。震災前水準まで一気に落ち込むことはないが、ポスト復興需要にどう軟着陸するかが今後の課題だ。人口減少の成長制約という構造的な課題への対応と共通する部分が大きい」

<複合化する課題>
 −東北の景気回復は他地域ほど力強くない。
 「経済のグローバル化で東北の景気も世界や日本全体と連動している。決して大きくかけ離れているわけではない。ただ、製造業の割合が少なく半導体関連など高付加価値のもうかる企業の集積に乏しいほか、大都市への若年層の流出や労働力の高齢化、訪日外国人旅行者の取り込みの遅れなどの課題があることも確かだ。課題はいずれも複合化している。逆に考えれば連動させて解決できるかもしれない」

 −今後の東北経済の発展に必要な視点は。
 「鶴岡市ではバイオ産業の集積が進み、仙台市はIT企業の開発部門誘致に力を入れる。米国やドイツには先端技術や医療関連など特色ある産業で栄えた地方都市がたくさんある。行政や経済団体が連携し、付加価値の高い新産業の創造を推進するべきだ」
 「企業や工場の従来型の誘致も間違いなく有益。人材不足や技術的な課題があるため成長できない既存の企業に、産学官が解決策を示して大きく伸ばすのも効率的だ。ゼロを1にするより10を100にする方が容易だ」

<失敗重ねて挑戦>
 −東北では人口減少が加速している。
 「空洞化する中心部と成熟する郊外の市街地への対処は、生活様式や働き方改革が進む中で、インフラ整備と一緒に考えるべきだ。空き家や学校の統廃合、住宅街と商店街の形成は一体の問題。高齢者が住みやすく、若者も住みたい街は豊かな暮らしの基盤となる」
 「スマートフォンの登場が象徴するように世界が突然変わる時代だ。人口が減っても新しいサービスは生み出せる。観光資源も同じで、宮城蔵王キツネ村(白石市)や仙台の根っこが入ったセリ鍋の人気はごく最近の話。『地方だから』と諦めずに技術の使い方や組み合わせ方、営業や宣伝の手法をよく考え、失敗を重ねながら挑戦し続けることが大事だ」


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2018年01月03日水曜日


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