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<ほっとタイム>地区住民の気概 今に

文字が読みやすくなるよう記念碑に片栗粉をまぶす我妻さん(中央)

◎宮城・蔵王の新憲法発布記念碑

 ありふれた田園風景に、不思議な石碑がぽつんとたたずむ。宮城県蔵王町矢附地区の「新憲法発布記念碑」。日本国憲法公布の「昭和二十一年十一月三日」とある。
 興味を持った約50人が昨年11月下旬、仙台市や岩沼市などから集い、地元の人の話に耳を傾けた。
 碑文は、憲法公布の記念事業として地元の警防団が寄付を募り、消防ポンプと電話を新たに備えたこと、「村民各位ニ深謝シテ永遠ニ記念スル」と約100人の名前、金額を伝える。当時の円田村でとりわけ貧しかった矢附に設備をそろえる苦肉の策だったらしい。
 集いの呼び掛け人の一人、仙台市の元社会科教員永沢汪恭(ひろやす)さん(76)が碑を知ったのは3年ほど前。改憲が現実味を帯びてきた昨今、現行憲法を見つめ直そうと思い立った。「住民主導の全国的にもまれな取り組み。平和への期待感を抱き、新たな憲法が迎えられた原点を見て取れる」と読み解く。
 案内役を務めた矢附区長の我妻正美さん(74)は江戸後期から幕末、真田幸村の血脈が開いた私塾「真田塾」を思う。「貧しい片田舎ではあったが、国や時代を見据える志の高さが育っていたのではないか。先人の気概を感じる」
 地域とは。憲法とは。こけむした路傍の碑が静かに問い掛ける。
(白石支局・村上俊)


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2018年01月05日金曜日


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