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<多酒多様>仙山圏ほろ酔い紀行(4)ウイスキー 味わいや風味樽が醸す

樽から勢いよく噴き上がる炎=2017年12月11日、仙台市青葉区のニッカウヰスキー仙台工場
藤原真夢さん

 東北の横軸、仙山圏には日本酒に加え、ワインやビール、ウイスキーから焼酎まで、名だたる銘酒の産地が東西に連なる。月内には国際ワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2018SAKE部門」の山形開催が決まる見通し。酒の話題が地域を盛り上げてくれそうな一年の始まりに、豊かな食文化や行楽を彩る仙山圏の酒造りの現場を訪ねてみる。

◎ニッカウヰスキー仙台工場(仙台市青葉区)

 バーナーの火がウイスキー樽(たる)の内側を焼き焦がす。青白い炎は次第に紅蓮(ぐれん)の炎へと変わり、勢いよく噴き上がった。
 仙台市青葉区のニッカウヰスキー仙台工場は、広瀬川と新川(にっかわ)が流れる山あいにある。仕込み棟、蒸留棟などれんが色の建物が樹木に溶け込むように立ち並ぶ。
 長期熟成するウイスキーは、樽が風味を醸し出す。建物の一つは、重要な製樽部門の国内主力工場。8人の職人が、海外から取り寄せた使用済みの樽の補修などに当たる。樽の寿命は約50年と言われ、手入れをして3、4回使う。
 2017年12月11日、職人たちはたがを外して板を組み替えたり、ガマの葉で隙間を埋めたりしていた。仕上げは焼き入れ。焼きが甘いと原酒に木の香りが付き過ぎ、焼き過ぎると焦げ臭さが移ってしまう。
 仙台ニッカサービスの横山和幸営業部長は「最初の青白い炎は、樽に染み込んだアルコール分が燃えたもの。内側を炭化させることで雑味が抜ける」と言う。
 敷地内には25棟の貯蔵庫があり、最大7万5000個の樽を貯蔵できる。樽詰めしたての原酒は透明。森と川に囲まれた湿潤な環境で、5年、10年と時を重ねるうちに樽の成分が溶け込み、琥珀(こはく)色に変わる。
 バーボンやシェリーなど、直前に樽詰めしていた酒も味わいに影響する。このため「製造年や貯蔵状況など、樽ごとに『履歴書』を作っている」と横山さん。
 仙台工場は1969年に開業した。創業者の竹鶴政孝が新川の水でウイスキーを割り、一口飲んで建設を決めた。社名と新川の読みが似ているのは偶然。当時の住所は宮城町作並戸崎原上だったが、工場進出を記念して宮城町ニッカになった。
 仙台工場では、カフェ式連続蒸留機などを使って大麦麦芽から造る「モルト」、トウモロコシを主原料にする「グレーン」の2種類の原酒を製造。「宮城峡」などの銘柄となって国内外で販売されている。
 大手メーカーの向こうを張って、全国各地で地ウイスキー製造の動きがある。仙山圏では焼酎製造の金龍(酒田市)が、山形県遊佐町に小規模蒸留所を整備し、2021年の初出荷を目指している。

[メモ]仙台市青葉区ニッカ1▽午前9時〜午後4時半(年末年始休み)▽試飲ができる無料の見学ツアーのほか、テイスティングセミナー付きの有料コースもある▽022(395)2865

◎お供コレが乙/特産カキやホヤの薫製/ガイド・藤原真夢さん

 宮城県限定販売の「伊達」(700ミリリットル、参考小売価格3780円)は、豊かな香りとバニラのような甘さが特徴。ハイボールは飲みやすく、香りも際立つ。家では伊達1に対して炭酸2の比率で割り、氷を3個入れて楽しんでいる。
 宮城は海産物が豊か。ウイスキーはスモーキーな食べ物と相性がいいので、特産のカキやホヤの薫製と一緒に味わってほしい。ほかにはスモークサーモンや秋田のいぶりがっこもよく合う。秋サケを干したサケとばや干し柿を軽くウイスキーに漬けて、つまみにしている同僚もいる。

◎ちょっと寄り道

 作並地区のシンボルになっている鎌倉山(520メートル)は、樹木の緑や岩肌が天を仰ぐゴリラの横顔のように見えるため、ゴリラ山の愛称で親しまれている。
 作並温泉は仙台の奥座敷と呼ばれ、国道48号沿いに5軒の温泉旅館がある。多くが広瀬川沿いに露天風呂を構え、川のせせらぎを楽しみながら入浴できる。
 泉質は単純温泉、塩化物泉などで、リウマチ、神経痛、切り傷などに効能がある。連絡先は作並温泉案内所022(395)2052。
 「湯のまち作並 観光交流館ラサンタ」では2月10、11日に雪祭り「ほっこり作並」が開かれる。雪像を展示するほか、雪灯籠に明かりをともす。山形の芋煮も振る舞う。


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2018年01月05日金曜日


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