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<多酒多様>仙山圏ほろ酔い紀行(5完)ビール 海の幸と合う軽めの風味

仕込み室の麦汁沈殿槽をチェックする醸造担当者=2017年12月21日、仙台市宮城野区のキリンビール仙台工場
千田悟史さん

 東北の横軸、仙山圏には日本酒に加え、ワインやビール、ウイスキーから焼酎まで、名だたる銘酒の産地が東西に連なる。月内には国際ワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2018SAKE部門」の山形開催が決まる見通し。酒の話題が地域を盛り上げてくれそうな一年の始まりに、豊かな食文化や行楽を彩る仙山圏の酒造りの現場を訪ねてみる。

◎キリンビール仙台工場(仙台市宮城野区)

 東北はホップの名産地でもある。仙台圏には大手ビール会社が工場を構え、東北産ホップなどで仕込んだビールを主に東北6県と新潟県に出荷している。
 東北で最も歴史が古いキリンビール仙台工場(仙台市宮城野区)は1923年、東洋醸造との合併により誕生した。仙台港に隣接する現工場は83年に操業を開始。「一番搾り」「ラガー」など、全国展開の定番商品を製造している。
 2017年12月21日、工場の仕込み室は、麦汁の甘い香りに満ちていた。室内に10個の釜があり、もろみ造りやろ過、麦汁の煮沸、ホップの添加など、それぞれ異なる役割を果たしている。
 煮沸の熱で夏場の室温は40度に達するため、塩あめや水など熱中症対策が欠かせない。酵母の邪魔をしないように、工場内へのヨーグルトの持ち込みは厳禁だ。
 冷やした麦汁を1週間ほど低温発酵させた後、約1カ月の熟成を経てろ過すると琥珀(こはく)色のビールになる。仙台を含め工場は全国に9カ所。横山昌人工場長は「他の工場と同じ味になるように醸造担当者が日々、麦汁やビールになる前の発酵液の味と香りなどをチェックしている」と説明する。
 15年から販売している「一番搾り 仙台づくり」は、仙台工場が独自に開発した。副原料に宮城県産のササニシキ、ホップは東北産を使う。横山さんは「食事との相性が大切。宮城の海産物とよく合うように、仙台づくりは普通の一番搾りよりも軽めの味わいに仕上げている」と話す。
 15年以降、工場見学の来場者は年間10万人を超え、台湾をはじめ海外からの旅行者も目立ってきた。
 サッポロビール仙台工場(名取市)は、ビール需要が高まった高度経済成長期の1971年に創業した。「黒ラベル」「ヱビス」など主力銘柄を製造。少量生産にも対応していて「ヱビスプレミアムブラック」、第三のビール「麦とホップ黒」は、全国7工場のうち仙台だけで手掛ける。
 仙山圏では地ビール造りも盛んで、宮城に加美町の「やくらいビール」、大郷町の「松島ビール」、角田市の「仙南クラフトビール」、山形に西川町の「地ビール月山」などがある。

[メモ]仙台市宮城野区港2の2の1▽午前9時〜午後4時40分▽ビールの試飲、麦汁の飲み比べや麦芽の試食などができる工場見学は無料で予約制(月休)▽022(254)2992

◎お供 コレが乙/隠し味にした肉煮込み/レストラン店長・千田悟史さん(41)

 「一番搾り」をおいしく飲むこつは泡とビールを3対7にすること。始めに勢いよく注ぎ、泡が落ち着いた後、その下にビールを流し込むと、クリーミーな泡の層ができる。冬は「一番搾り 黒生」を耐熱グラスに入れてレンジで温めたホットビールもお薦め。
 おつまみには、ビールを使った肉の煮込みや野菜の浅漬けを提案したい。煮込みはソースに、浅漬けは漬け汁にビールを隠し味として入れる。黒ビールは甘い物とも良く合う。ぜひ蜂蜜とバターをたっぷり使った熱々の「ハニー&バターブレッド」を試してほしい。

◎ちょっと寄り道

 キリンビール仙台工場併設のレストラン「キリンビアポート仙台」では、宮城の食材を使ったオリジナル料理と工場直送のビールを提供している。午前11時〜午後10時。連絡先は022(387)7811。近くに三井アウトレットパーク仙台港や仙台うみの杜水族館、夢メッセみやぎがあり、買い物や行楽の一大エリアになっている。
 サッポロビール仙台工場はJR東北線名取駅に隣接し、レストラン「仙台ビール園」を併設。店内でジンギスカンと工場直送のビールが味わえる。工場見学は休止中だが、敷地内のビオトープ園は自由に散策できる。ビール園は午前11時半〜午後10時(日−木曜は午後9時まで)。連絡先は022(384)9301。


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2018年01月06日土曜日


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