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<二戸市長選>「漆の里」復権へ 国内シェア7割、国宝修復で需要増も課題山積

浄法寺漆の手仕事。国内最大産地は生産量増加を果たせるのか=岩手県二戸市浄法寺町

 任期満了に伴う岩手県二戸市長選は14日の告示まで1週間となった。「浄法寺漆」に代表される二戸市の漆生産は国内シェアの7割を誇り、国宝などの修復で2018年度以降は長期的な需要拡大が見込まれる。いかにして漆職人の高齢化や原木林の荒廃を食い止めるのか。「漆の里」復権にかじ取り役の手腕が問われる。
 市浄法寺総合支所に昨年12月19日、市内の漆かき職人でつくる「日本うるし掻(か)き技術保存会」の役員が顔をそろえた。毎年3人ほど受け入れている研修生の指導方針を検討するためだ。

<17年産1トン未満>
 1950年代に300人いた漆かき職人は昨年、26人にまで減った。うち半数は70代で高齢化が著しい。
 生産量も低調に推移している(グラフ)。2009年をピークに中国産の安価な輸入品に押され、17年は1トンを下回る見込みだ。
 供給現場を取り巻く環境が厳しさを増す一方、需要拡大の好機は目前に迫る。
 文化庁は漆塗りの国宝と重要文化財建造物415棟で修復に使う漆を18年度以降、国産に限る方針を決めた。今後80年で必要な修復用国産漆を年平均2.2トンと試算する。
 このため、市は5年後をめどに年間生産量を2トンに引き上げる方針だ。保存会の研修生育成制度と、総務省の補助金により創設した雇用制度の両輪で漆かき職人を40人に増やす。
 ただ、保存会の工藤竹夫会長は「応募してくる研修生は県外出身者ばかり。2、3年修業して地元に戻るケースが少なくない」と打ち明け「職人が二戸と関係を絶たないような仕組みが必要だ」と訴える。

<10年で3万本減>
 原木林の荒廃も課題の一つだ。市は昨年、市全域で約10年ぶりに原木調査を実施。採取可能な原木は約13万本で前回調査から3万本も減っていた。
 年2トンの生産量を長期に維持するには、少なくとも原木18万本が要る。市は民間企業の協力を得て植林を進めつつ、本数や植栽年数を把握するデータベースを構築し、資源管理の効率化を目指す。
 植林事業について工藤会長は「職人が1人しかいない育苗分野の技術継承が喫緊の課題」と指摘。
 その上で「市には就労や結婚を支援し、地元の若者が漆産業を目指しやすくなる環境づくりを求めたい。指導者の高齢化が進み、残された時間は多くない」と注文を付ける。
 市長選には現職で再選を目指す藤原淳氏(65)が立候補を予定している。


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2018年01月07日日曜日


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