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<芥川賞>仙台で高校生活送った木村さん、遠野市出身の若竹さん 候補者に東北ゆかりの2人

木村紅美さん(C)森清
若竹千佐子さん

 選考会を16日に控えた第158回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)で、東北ゆかりの2人が芥川賞候補に挙がっている。仙台市で高校卒業まで過ごした木村紅美(くみ)さん(42)と遠野市出身の若竹千佐子さん(63)。いずれも首都圏在住だが、作品と東北との関係は深い。同賞は前回、盛岡市の沼田真佑さん(39)が「影裏」で受賞したばかり。「それに続け」と地元は吉報を心待ちにしている。
 東京都在住の木村さんの「雪子さんの足音」(群像9月号)は、学生時代に暮らしたアパートの大家「雪子さん」が孤独死したニュースに接した男性が20年前を回想する中編。親切と打算を行き来する微妙な人間関係を丁寧な筆致で描きだした。登場人物の2人は仙台と岩手の出身だ。
 木村さんは第139回(2008年)の「月食の日」以来、2度目のノミネート。兵庫県生まれで、父の転勤に伴い小学6年で仙台に移った。現在は両親が暮らす盛岡市に実家がある。
 所属した仙台向山高の文芸愛好会の仲間とは今も親しく交流を続ける。同級生の宮城県職員笹田歩さん(41)=宮城野区=は「当時から文章が上手で、短編を定期的に書いていた。自分の価値観、世界観を持つ人。多くの人に知ってもらいたいので、ぜひ受賞してほしい」と応援する。
 千葉県在住の若竹さんは昨年文芸賞に選ばれたデビュー作「おらおらでひとりいぐも」が早々に単行本となり、いきなり芥川賞候補に。東京近郊で1人暮らす74歳の「桃子さん」が、脳内にあふれる古里言葉で老いと孤独を前向きに見詰める思索小説は各メディアで評判を呼んでいる。
 遠野市図書館が昨年12月に開いた若竹さんのトークイベントには予想の倍の約100人が詰めかけた。対談相手を務めた小向孝子館長(60)は「作品の冒頭から遠野弁で風景描写も遠野そのもの。古里に深い愛着を感じさせる作品が候補になって地元も沸いている」と声を弾ませる。
 木村さん、若竹さんとも芥川賞受賞が決まれば、岩手県関係者ではデビュー作で同賞を射止めた沼田さんに次いで2人目となる。


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2018年01月09日火曜日


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