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<転機の米作り>(3)風評、主食用生産で払拭

さとう・りょういち 1953年南相馬市小高区生まれ。旧小高農高卒。2001年特定農業団体アグリマックス21設立。17年1月に区内7営農組織が設立した紅梅夢ファームの社長に就任。市農業委員も務める。64歳。

 国によるコメの生産調整(減反)が2018年産から廃止され、半世紀近く続いたコメ政策は大転換期に入る。国内有数の米どころで、農業産出額の多くを依存する東北。転機とどう向き合い、いかに先行きを見通すか。関係者に聞いた。

◎紅梅夢ファーム社長 佐藤良一氏

 −福島県浜通りの作付面積は増える見通しだ。

<農協系から自立>
 「南相馬市小高区は今からが本格的な営農再開。耕作していない土地が有り余っている。昨年11月末現在で地元に戻ってきたのは約2300人。65歳以上が7割を占める。古里に戻ってきても、農業を再開せずに土地を貸したい、買ってほしいという人が多い」

 −福島県産米の風評が払拭(ふっしょく)されていない。
 「農協が倉庫にもう抱えていられないという時期までじらされ、最後に妥協して卸に買ってもらう現実がある。震災後、その状況が顕著だ。農業を再開したばかりの人は収量が上がり、交付金も入るから飼料用米に流れがちだ。安心安全な主食用米を作り、市場に出していくことが風評払拭につながると考えている」

 −コメの全量を舞台アグリイノベーション(仙台市)に出荷している。
 「農協系におんぶに抱っこでは、会社経営の観点から問題がある。形を変えて販売できるメリットがあり、自分たちで値段交渉もできる。農協関係者には反発もかなりあったが、選択肢だと理解してくれる人もいた。種もみや資材などは農協から購入している」

 −コメの消費量は全体的に減少している。
 「パックライスは売れている。炊飯せずに、手軽に済ます高齢者層が増えている。そうした動向を見極めながら対応するのは一つの方法だ。父親の世代の経営は丼勘定。その繰り返しでは駄目。シビアに物事を捉えながら先々を読んで事業計画を立てる必要がある」

 −農業経営のあるべき姿をどう考えるか。

<人材を有効活用>
 「これまでの大豆や菜種などに加え、昨年からタマネギの生産を始めた。半分はコメ以外の作物を作るという意識があれば困ることはない。コメはコストを抑える努力も必要だ。2018年産米は昨年作付けした9ヘクタールを乾田直播にする」
 「農業で当たり前の経営ができるような手本を示さないと若い人たちが地元に戻ってこない。古里で(若い人が)今いる場所以上に稼げるようになることが重要だと考えている」

 −人手をどう確保するか。
 「区内の2農業復興組合をいずれ法人化したいと考えている。農地管理会社のようなイメージだ。農道も含め農地の保全管理ができる組織、会社にしたい。現在、組合に関わっている人にはできる範囲で引き続き携わってくれるといい。人材を有効活用しながら古里の農地、農業を守りたい」(聞き手は報道部・加藤健太郎)

 


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2018年01月10日水曜日


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