宮城のニュース

<週刊せんだい>挑む(1)高級エレキギター、携帯型DJ機器…音で世界を楽しく

「これまでのギターに飽き足らない人たちに支持されている」と話す梶屋社長
「日常生活の中で、GODJを使って音楽を楽しむような文化を育てたい」と話す宮崎社長

 新たな年が明けました。1月の週刊せんだいのテーマは「挑む」です。「音楽をさらに身近にしたい」「街を笑いで満たしたい」「新たなカフェ文化を根付かせたい」。街角で世界で、高い目標を掲げて飛躍を誓う人々がいます。
 世界初のタッチパネル式携帯型DJ機器を開発・販売するエンジニア、東北初の常設寄席開館を目指す席亭、海外発祥の朝食スタイルを提案するカフェ経営者ら、さまざまな分野で仙台の地から新たな地平を切り開こうと奮闘するフロンティアたちの姿をお届けします。

◎独自戦略所有欲を刺激/高級エレキギターで市場に参入 梶屋陽介さん(34)

 高い商品力を持つエレキギターで世界を目指すのは、ギターの製造・販売を手掛ける「セッショナブル」の梶屋陽介社長(34)=宮城県女川町=だ。
 2016年末発表した「SWOOD(ソード)」は、デザイン、内容ともに革新性の塊だ。ネックとボディーの結合には、陸前高田市の気仙大工の伝統技術を採用。弦を留めるテイルピースには、釜石市の会社が製造する新合金を使い、振動の減衰を抑え、伸びのある音を実現した。
 デザイン監修は、イタリアのスポーツカー「フェラーリ」をデザインした奥山清行氏(山形市出身)。日本刀をモチーフにした斬新な形態で人目を引く。
 「フェラーリのようなギターを目指しました」と梶屋さんは振り返る。女川町に工房、仙台市に店舗を構えるまでは、東京のギター量販店に勤めていた。数万円のアマチュア向けから数十万円のプロ仕様まで、販売経験を積む中で、理想のギター像が出来上がった。
 「既存の市場では戦わない」。オリジナル商品を開発・製作する上で、梶屋さんが決めた戦略だ。分業化が進み、主要部品が簡単に手に入るギター産業は、参入障壁が低い。誰でも作れる品を作っていたのではコスト競争に巻き込まれる。
 顧客に近く、人材が育つビジネスモデルを模索し、導き出した解答が「SWOOD」。高い付加価値を有し、購入者の所有欲をかき立てる超高級モデルの製造・販売だった。
 「ジャンルを超えて使える柔軟性がある一方、ミスタッチせず、きちんと弾くことを要求するギターです」と梶屋さん。抜群の性能を持つ半面、演奏者にも相応の技術を求める点はまさに「フェラーリ」だ。
 「SWOOD」の価格は102万円と75万円の2種。市場からは「非常にインパクトがある」と、この価格帯としては異例の2桁台の注文を得ている。梶屋さんは「立ち上げたブランドを時間をかけて育て、必ず成功させる」と意気込む。

◎日常で使える魅力PR/携帯型DJ機器の普及目指す 宮崎晃一郎さん(47)

 A4判のノートパソコンサイズ。一見ラジカセ風の薄型ボディーから迫力あるダンスミュージックが流れる。表面にある液晶ディスプレーをこすると、楽曲が正転、逆転を繰り返す。音楽シーンで見られるDJプレーそのものだ。
 「これまで大きく、重く、気軽に扱えなかったDJ機器を、持ち運び可能にし、誰でも手軽に扱えるようにしたのが『GODJ(ゴーディージェー)』です」と話すのは、開発者で販売元JDSound(サウンド)社長の宮崎晃一郎さん(47)=仙台市青葉区=。プロのDJから意見を聞き作った初代は、愛好家を中心に全世界で1万3000台売れた。
 発売から5年後の2017年、第2弾といえる「GODJ Plus(プラス)」を発売した。初代になかったスピーカーやネットワーク機能、ボタンやつまみなどの操作系を拡張・充実させた商品。初代の販売のため世界中を飛び回り、出会った数千人からの意見を参考にして製品化した自信作だ。
 「お花見会場やピクニック、ホームパーティーなどで気軽に楽しんでほしい」と宮崎さんは呼び掛ける。
 初代を世に送り出したことで、世界中のプロや愛好家をアッと言わせることはできた。今度はGODJが持つ楽しさを、より多くの人に知ってもらうことが、宮崎さんの挑戦だ。
 各地でセールス活動を展開してきた経験から、商品を売り込む難しさを感じている。「実際に手に取って試してもらうと、楽しさを分かってもらえるが、最初から飛び付くような商品ではない」(宮崎さん)からだ。
 GODJは、それまでプロや愛好家が「独占」していたDJプレーの楽しさを、一気に一般市民に届ける革新的な製品だ。DJなど見聞きしたことがない人々に、商品の魅力をどうしたら理解してもらえるか。これまでにない戦略が必要になる。
 今考えているのは、企業のプレゼンテーションやイベントのトークセッションなどの現場での活用だ。「ちょっとしたイベントでも、その場に音楽があることで、全体の価値がグッと上がることが少なくない」(宮崎さん)。
 海外では平均年齢が若く、DJの認知度が低いインドネシアに注目する。現地で盛んなケータリングサービスの中に「宅配DJ」を盛り込めないか計画中だ。テクニックを身に付けたスタッフが、GODJを携え、各家庭を訪問しプレーを提供する。DJが新しく面白い職業だと現地の若い人たちに知ってもらうことで、ビジネスチャンスが広がることを期待する。
 宮崎さんは「日常生活の中にGODJが介在するストーリーを作り上げ、世界中でDJ文化を育てていきたい」と話す。


関連ページ: 宮城 文化・暮らし

2018年01月11日木曜日


先頭に戻る