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<転機の米作り>(5完)需要減 農協の役割増す

冬木勝仁(ふゆき・かつひと)1962年京都市生まれ。京大大学院修了。90年東北大農学部助手。同助教授、准教授などを経て2017年4月から現職。研究分野は農業市場学、農業政策学、地域農業論など。55歳。

 国によるコメの生産調整(減反)が2018年産から廃止され、半世紀近く続いたコメ政策は大転換期に入る。国内有数の米どころで、農業産出額の多くを依存する東北。転機とどう向き合い、いかに先行きを見通すか。関係者に聞いた。

◎東北大大学院教授 冬木勝仁氏

 −コメ政策の転換をどうみるか。

<混乱ないと予想>
 「国が全国の需給見通しを出し、県が独自に目安を設定し、市町村に示す。数字の流れは変わっていないため、2018年産で大きな混乱は生じないだろう。コメが主食という大前提に立てば、需給と価格の安定は現行の食糧法でも国の責任になっている。そういう意味で国の関与は弱い」

 −需給バランスなど生産サイドに与える影響は。
 「(過剰生産への)縛りが効かなくなる。どこかが抜け駆けするのではないかと、各産地が様子を見ている状態だ。全国農業協同組合中央会などが民間で需給を議論する全国組織をつくった。疑心暗鬼を招かないために、情報交換だけでもやる意味はある。できることなら国が入ればいい」

 −コメの直接支払い交付金がなくなる。
 「生産数量目標を超過しなくなった主要因は飼料用米だ。交付金をもらえるから生産調整に参加したのではなく、大規模農家を中心に飼料用米を作って交付金をもらうという考えが多かったとみている。読めないのは、集落や地域でやるからと協力してきた小規模兼業農家や集落の反応だ」

 −需要が減る中、産地の在り方をどう考えるか。

<新たなモデルを>
 「転換の方向をコメ以外に求める想像はつくが、地域にはアイデアがなく、踏み切れない。県に加え、合併によって一定の規模を有する農協の役割が大きくなる。品種構成を考えるなど、管内でさまざまなことに取り組むような営農計画が必要。国のモデルにこだわらない展開を農協が考えられるのかが問われる」

 −産地づくりには国の支援も欠かせない。
 「産地交付金の使い勝手を良くし、地域農業がコメにとどまらず、抜本的な転換を図る取り組みを柔軟に支援できるような枠組みが望ましい。コメ生産を担い続けてきた自負が東北にはあるが、変わっていくための機会や仕組みを積極的に作っていくべきだ」

 −大きな転機を農村はどう乗り越えるべきか。
 「農村はいろいろな政策転換があった時、為政者の思惑とは別に、うまく(制度を)翻訳して地域に適応させてきた。集落営農は典型例と言える。経理一元化だが、実は個別経営だ。昔から生き残ってきた農家、農村の知恵がある。今回もいろいろな対応の仕方があるのかもしれない」(聞き手は報道部・加藤健太郎)


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2018年01月12日金曜日


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