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歌津の宝修復、復興の励みに 被災古文書2000点を奈良の市民グループが作業

修復された古文書類を一つ一つ読み返す小沢住職

 宮城県南三陸町歌津の西光寺(1429年開山)が所蔵し、東日本大震災の津波で被災した古文書類約2000点が、奈良市の市民グループ「文化財保存修復市民の会」によって修復された。住民の心のよりどころだった寺に地域の宝が戻り、復興への励みになっている。
 津波は伊里前川河口から約800メートル上流の寺を襲った。震災から10日後、住民が崩れた本堂から本尊と共に般若経典を含む約500巻の古文書類を運び出し、保管。復興支援を通じて知り合った奈良大の西山要一名誉教授(68)=保存科学=に2011年5月、修復を依頼した。
 作業には同大や奈良教育大の学生、一般ボランティアでつくる市民の会が当たり、延べ約2000人が携わった。
 古文書類はまず、水に浸して塩を抜き、特殊な機械で真空冷凍して乾燥させる。くっついて板のようになった紙を竹べらで一枚一枚剥がし、砂を取り除いたり、破れた紙を裏打ちして補強したりした。繊細で手間のかかる作業は昨年3月までに終え、寺に戻した。
 先々代の住職小沢文隆氏は比叡山で修行し、曹洞宗系の愛知中学(名古屋市、現愛知学院)初代校長、旧歌津村長を歴任。修復した文書の中には文隆氏が収蔵した仏教大辞典の初版をはじめ、同氏の書き込みが残る貴重な史料が含まれる。
 文隆氏の孫の小沢良孝住職(72)は「自分にとっては全てが宝物でありがたい支援だ。救出してくれた住民のためにも大切にしていきたい」と感謝する。震災当時の護持会会長の小野寺寛さん(69)は「被災した跡が残る文書は震災の生き証人になる」と語る。
 修復作業を指導した西山名誉教授は「私たちにとっても新しい挑戦だったが、できるだけ元の状態になるように心掛けた。文書を見ると学問に重きを置いた寺だと分かり、とても身近に感じられた」と話した。


2018年01月14日日曜日


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