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<水道3事業一体化>宮城県が制度枠組み年度内公表 民間参入、なお不安視

 広域上水道と工業用水、流域下水道の事業を一体化する「みやぎ型管理運営方式」の導入を目指す県は、本年度内に制度の枠組みを公表する。官民の役割分担など詰めの作業を進めているが、基幹インフラを民間に委ねる方向性には依然、不安や懸念の声も強い。

 みやぎ型方式は上工下水事業に民間参入を促す新たな取り組み。既存の取水施設や浄水場などの所有権を県に残したまま、施設の「運営権」を別に設定するコンセッション方式だ。
 対象は地図の通り。ダムから取水後、浄水して市町村へ送る「広域水道」(大崎、仙南・仙塩)と契約企業の工場などに配水する「工業用水」(仙台北部、仙塩、仙台圏)。市町村の下水を浄化する「流域下水道」(仙塩、鳴瀬川、吉田川、阿武隈川下流)を含めた計9事業を統合する。
 現在は個別に業務委託し、費用は年間計64億円。県はみやぎ型方式による運営の一体化で、今後20年間で計128億円の削減が可能と推計する。担当者は「民間の創意工夫を生かしたコスト削減と、規模拡大による効率的な運営が可能になる」との考えを示す。
 事業見直しの背景には、人口減少による需要減がある。広域上水道の収益は年150億円(2015年度)から20年後には年140億円に縮小し、設備更新費は1100億円に達する見通し。工業用水事業も契約水量の減少などで、長期的な収益見通しは厳しい。
 経営改革は喫緊の課題だが、昨年の県議会11月定例会では水道料金の引き上げに対する懸念などが相次いだ。無所属の会の菅間進氏は昨年12月4日の一般質問で「安易な値上げは県民の利益にならず許されない」と訴え、「石橋をたたいて渡る慎重さが必要だ」と指摘した。
 市町村側からも「事業の継続性に不安がある」(郡和子仙台市長)など、丁寧な説明を求める声が少なくない。
 県は20年度初めごろまでに民間が設立する特定目的会社と運営権契約を締結。施設の維持運転、設備更新などを一括して委ねる形を想定し、災害時のリスク対応などの検討も進める。
 特定目的会社の経営や業務を監視する第三者機関を新たに設置するほか、料金設定にも県の関与を残し続ける方針。県は「『完全民営化』の批判には当てはまらない」と強調する。
 遠藤信哉公営企業管理者は「制度をつくり上げる途上で、説明不足だった側面はある。不安を抱く市町村や県民から理解を得られるよう努力したい」と話す。


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2018年01月16日火曜日


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