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<阪神大震災23年>二つの震災教訓伝える 兵庫出身の陸前高田市職員「一人の犠牲者も出さない」

かさ上げ工事が進む陸前高田市の市街地を見渡す中村さん

 阪神大震災から17日で23年。大きな被害を受けた兵庫県芦屋市出身の中村吉雄さん(45)は今、東日本大震災で被災した陸前高田市の防災課長補佐として地域の防災活動に取り組む。「自然災害で一人の犠牲者も出してはいけない」。二つの震災を胸に、自らの責任の重さをかみしめる。
 中村さんは2015年度から正職員。市民1760人が死亡・行方不明になった震災の検証や、市職員の津波退避基準と住民避難マニュアルの策定を手掛けた。
 東日本大震災以前は東京都の民間コンサルタント会社に勤めて各地の地域防災計画作りに関わっていたが、震災直後に訪れた被災地の土ぼこりが阪神大震災の記憶を呼び覚ました。
 阪神大震災で芦屋市では市民444人が亡くなった。建築土木工学に依拠する防災に疑問を感じ「社会システム全体から防災を考えなければならない」と決意して大学院に進学した。
 現在の芦屋市は阪神大震災前より人口が増え、震災の悲劇を知らない住民が多く暮らす。震災の痕跡を見つけるのも困難な古里の現状を見るにつけ、防災意識の継続は陸前高田市にとっても大きな課題だと感じている。
 陸前高田市での聞き取り調査では「あまりに想定を信じ込みすぎた」「1分前でいいから震災前に戻りたい」といった悲痛な言葉を何度も耳にした。「私たちが避難が何より重要だと言い続けることを怠れば、震災の教訓は全て忘れられてしまう」と語る中村さん。今後、市独自の防災マイスター育成を目指して住民勉強会を開催したいという。


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2018年01月17日水曜日


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