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<阪神大震災23年>薄れる記憶、伝承に腐心 「3.11」と連動し若者に訴え

昨年の宝塚防災ラジオウォークでモニュメントに黙とうをささげる参加者。今年は3月11日に開催する(宝塚市提供)

 阪神大震災は17日、発生から23年になる。被災地の兵庫県では、震災の記憶の風化が深刻さを増している。関心の低下に加え、震災を直接知らない「震災後生まれ」の割合が年々拡大しているからだ。当時の教訓をどう伝えるか。記憶に新しい東日本大震災に合わせて伝承のきっかけをつくるなど、関係者は腐心する。(報道部・菅谷仁)

<慰霊碑に落書き>
 神戸市役所近くの公園・東遊園地。昨年12月22日、阪神大震災の「慰霊と復興のモニュメント」に落書きが見つかった。震災犠牲者名を記した銘板の脇の壁約50センチ四方に「あほ」「ばか」と刻まれた。2000年1月の建立後、初めてのことだった。
 モニュメントを管理するNPO法人「阪神淡路大震災1.17希望の灯(あか)り」理事長の藤本真一さん(33)は「大変悲しい。どういう場か知らない人が増えているのだろう」と肩を落とす。市の人口は約153万。うち震災後生まれは15%を超える。
 モニュメント前では毎年1月17日、追悼式典を開くが、震災を知る世代の参列者が減り、若者は東日本大震災へ関心を寄せる傾向が強いように感じるという。
 12年からは東日本大震災が起きた3月11日にも追悼イベントを実施する。東日本と一緒に阪神の風化も防ぎたい思いがある。藤本さんは「忘れたい人もいるだろうが、二つの震災で多くの人が亡くなったことを無かったことにはできない」と指摘する。

<被災の痕跡減少>
 宝塚市は、16年から毎年1月17日前後に主催してきた「宝塚防災ラジオウォーク」を、今年は3月11日に変更する。
 催しはラジオ中継を聞きながら当時の避難所や被災箇所を巡り、震災を学ぶのが狙い。開催日の変更について同市の担当者は「阪神大震災を経験していない世代が増えた上、被災の痕跡も少なくなり、伝えづらいため」と説明する。
 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町、女川町などに応援職員を送った縁もあり、「多くの人の記憶にある東日本大震災に合わせて伝承したい」と話す。

<いずれは東北も>
 記憶の風化は東日本の被災地も避けて通れない。
 「記憶が薄れることは止めようがない」と言うのは、南三陸町で若者や子どもを支援するNPO法人「キッズドア」地方創生推進室長の佐藤陽さん(27)。4歳の時、阪神大震災で西宮市の自宅が損壊。弟を亡くし、母は10時間後に自宅から救出された。
 佐藤さんは「つらい記憶を忘れることは生きていく上で必要な場合もある」と語る一方、自らの経験に照らし「被災経験は人生や地域課題と向き合う動機になる。だから今、東日本で子どもたちを支援している」と風化を克服する世代を育てる意義を強調する。


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2018年01月17日水曜日


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