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<南極見聞録>整形 歯科 確かな助言

青いジャケットが第59次隊、オレンジがしらせ衛生隊、黄色が58次隊です。強い日差しを避けるために顔を隠すことも多く、判別のためヘルメットやジャケットの色を隊次で分けています
昨年末、アデリーペンギンの営巣地の調査と取材に訪れました。「ひなの生育状況は良好」と生物担当隊員が話していました(筆者撮影)

 第58次南極地域観測隊に仙台市太白区の外科医大江洋文さん(57)が参加している。過酷な環境の中で任務に励む日々。極地の「今」を伝える。

◎こちら越冬隊 Dr.大江(19)しらせ衛生隊

 昭和基地では短い夏の期間中に多くの作業が集中します。越冬してきた第58次隊と年末に基地入りした59次隊だけではとても人手が足りません。この時期にとても頼りになるのが海上自衛隊のしらせ乗員による作業支援です。

<医師ら4人体制>
 例えば、ヘリコプターで空輸される物資の積み下ろし作業や、夏期隊員宿舎で暮らしている59次隊員たちへの食事の用意、土木建築作業の手伝い、重機が入れない場所の除雪作業(と言っても、ほとんどが硬い氷を割って除去する作業ですが)などがあります。
 乗員には屈強な若者も多く、重労働にも不平も言わずに観測隊員を手伝ってくれます。11月に出国し、翌年4月に帰国する生活のほとんどを海の上で暮らすしらせ乗員にとっては、陸上で暮らす基地での数日間は、いい気分転換になると話していました。
 昭和基地医務室でも、1月中旬に2人ずつ2回に分けて、しらせ医科支援・歯科支援を受けました。しらせの中では、医師・歯科医師・看護師2人の4人体制で衛生隊が構成されています。一方、越冬隊は医療隊員が2人おり、58次隊は私が消化器・一般外科医、同僚の女性医師は総合内科医、次の59次は2人とも消化器外科医の組み合わせになっています。

<東北話に花咲く>
 最近の越冬隊医師の中で骨や筋肉などの外傷を専門とする整形外科医がいなかったため、手術室には見慣れない手術器具がたくさんあり、前回54次隊に参加した時から気になっていました。今回のしらせの医務長が整形外科医ということから、渡りに船とばかりに手術室の点検をお願いしました。
 現在では使われることのなくなった古い手術器械の更新や、次回持ち込むべき診療器材の提案、骨折の手術手技などの指導をして頂き、大変有意義な支援でした。また、歯科長には私たちの専門外の歯科医療機器や薬剤をてきぱきと点検し、次の隊が準備すべき物品などのリストを作って頂きました。
 これらのアドバイスは次隊に引き継がれ、基地の医療環境の充実に役立つことと思います。女性医師の医務長は山形市(お母さまが登米市)、歯科長は栗原市ご出身という同じ東北出身つながりで、仕事が終わってからの懇親の席でも話が尽きませんでした。(第58次南極越冬隊員・医師 大江洋文)


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2018年01月20日土曜日


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