宮城のニュース

<脱埋没への模索 どうする登米・栗原>第2部 市民生活(4)市民バス(上)/本数、路線 不便さ顕著

本数が少ない栗原市民バス。バス停時刻表は空白部分が目立つ

 宮城県栗原市若柳の商店街近くに立つ市民バス停留所の時刻表は何だかさみしい。バスは1時間に1本もない。発着時刻の欄はほとんど真っ白だ。
 「市民バスは本数が少なすぎる。移動スケジュールに合わないから乗らない」。バス停近くに住む50代の男性は言う。近くの商店主は「乗客がいるか、いないか分からないバスが通過する。せっかくの公共交通機関なのに」ともったいなさそうな表情で語る。

<ニーズ合わず>
 栗原市民バスは26路線、登米市民バスは24路線。料金(大人)は栗原が200〜500円、登米は一律100円で小学生以下は無料。年間運行経費は栗原が2億円、登米が1億8000万円ほどに上る。
 利用者数は栗原が年間約37万人、登米は約32万人。栗原の場合、1便当たりの平均乗車人数は5.6人で、最小は1.0人。両市によると、通院の高齢者や通学の高校生といった交通弱者が大半を占める。
 本数が少ない上、主要道を中心に走る市民バスは、広大な市域に集落が点在する栗原、登米市民のニーズを満たせない。「最寄りのバス停は自宅から徒歩1時間」と皮肉る人もいる。
 不便だから認知度も上がらない。
 栗原市が2016年に実施した市民バスのアンケートでは、「自宅近くの路線や運行本数がおおむね分かる」と答えたのは約1割。「全く乗らない」は約9割に上った。登米市の13年のアンケートも「全く乗らない」は約8割で、利用しない理由は「自家用車を使う」「目的地に行く路線がない」などが挙がった。

<民間ほぼ撤退>
 自家用車が現代ほど普及していなかった1970年代前半ごろまでは、バス会社の路線バスが多く走っていた。栗原と登米を結ぶ路線も多く、人々の往来も盛んだった。
 しかし、車社会の到来とともに減便になり、やがてほぼ全面撤退の状況に。同時期に平成の合併で新市が生まれ、交通手段確保のため市民バスが走り始めた。
 行財政の効率化で役所機能は拠点化された。住民票交付など窓口業務は旧町村ごとにある総合支所で事足りるが、市民税などの込み入った話になると、担当課がある本庁舎などに出向かないといけない。「旧町役場なら徒歩で行けるが、市役所は遠い」。栗原市の行政区長はため息をつく。
 通っていた診療所が医師不足で休診になり、遠方の病院に毎月出掛ける同市の高齢女性はこう語る。「タクシーは片道4000円もかかるけど、ずっとバスを待ち続けるのは体力的に無理」
 警察は高齢運転手の事故が増えていることを踏まえ、免許証の返納を勧める。登米や栗原では、高齢ドライバーが赤信号を無視して交差点に進入して衝突事故を起こしたり、左のウインカーを出しながら右折したりする場面を目にする。
 高齢化と過疎に直面する地域での公共交通の在り方を、再検討する時期を迎えているのかもしれない。


関連ページ: 宮城 社会

2018年01月21日日曜日


先頭に戻る