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<女川原発避難協定>複合災害対応これから 避難先自治体「市民優先」

 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の重大事故に備え、原発周辺自治体と避難先との広域避難協定が今月、まとまった。原発事故は地震や津波が起因する複合災害となる可能性が高いが、同災害の場合は避難先自治体が「受け入れは難しい」と説明。受け入れ側の課題も多く、本格的な避難態勢の整備に向けてスタートラインに立ったばかりだ。

 原発30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)を含む7市町がまとめた広域避難計画によると、約21万人が宮城県内の31市町村に避難を予定している。
 仙台市は石巻、東松島両市から計約6万4800人を受け入れ、体育館や市民センターなど83施設を避難所とする計画だ。ただ東日本大震災では津波に襲われ、交通機関はまひした。ピーク時に約10万6000人が避難所に押し寄せた。
 市は昨年見直した地域防災計画「原子力災害対策編」で、受け入れ条件を(1)市内に避難者が発生していない(2)ライフラインに大規模被害がない(3)原発事故による市への影響が少ない−などと定めた。市防災計画課の担当者は「震災の経験を踏まえれば複合災害時は受け入れられない」と説明する。
 大崎市も地震や原発事故の影響が及ばない際の受け入れが前提。栗原市の担当者は「市民の生命財産を守るのが優先。人手が割かれる中で受け入れ態勢を整えられるか」と不安を打ち明ける。
 避難所受け付けステーションや避難所は避難先の自治体が開設するが、職員の配置や食料の準備については「これから決めなければならない状態」(登米市)という。
 原発周辺の自治体と異なり、東北電力から直接情報が得られないことも不安材料だ。大崎市は女川原発から30キロ圏に含まれていないとはいえ、鹿島台地区は原発から34キロにあり、市民も避難する可能性がある。佐藤光弘危機管理監は「東北電から早期の情報提供が不可欠」と立地自治体並みの対応を求める。
 県原子力安全対策課は「避難先自治体の意見や要望を聞く機会を設けたい」と話す。県内で避難先が確保できない場合は山形県に受け入れを求めるが、「具体的な調整は今後」と避難先までは確定できていない。
 原発周辺7市町のうち、美里町は独自に第2の避難先として山形県最上地方8市町村と覚書を交わしたほか、東松島市が災害相互援助協定を結ぶ東根市と調整する予定。残る市町は宮城県に調整を求めている。

[広域避難計画]東京電力福島第1原発事故を踏まえ、国が原発から半径30キロ圏内の自治体に策定を義務付けた。過酷事故時に30キロ圏外に避難できるよう、避難先やルート、輸送手段を定める。東北電力女川原発周辺の宮城県内7市町は2017年3月までに計画を策定した。内閣府が設けた原子力防災協議会作業部会が計画を精査中。


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2018年01月22日月曜日


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