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<脱埋没への模索 どうする登米・栗原>第2部 市民生活(5完)市民バス(下)/公共交通政策 連携を

大崎市民バスの長根バス停を通過する登米市民バス。大崎市民病院への通院用に乗り入れを始めたが、利用者は少ない

 ある日の午前9時すぎ、登米市民バスが米山佐沼線の終点でもある大崎市民バス長根バス停(田尻地区)を通過した。降りる人はいなかった。
 到着予定は午前9時3分。同バス停で同13分発の大崎市民バスに乗り換えれば大崎市民病院に着く。帰りの市民病院発は午後0時44分。長根に午後1時35分に着き、同38分発の登米市役所方面に向かうバスに乗り換えできる。
 大崎市民病院への足を確保するため、登米市が2015年に乗り入れを始めた路線だ。
 朝のバスが時刻表通り着けば待ち時間は10分。待合所がないため冬は寒く、雨風が強いときは大変だ。利用者の話を聞くため何度も取材に行ったが、降車客にはなかなか出会えない。

<使い勝手悪い>
 登米市民バスが遅れ、大崎市民バス発車後に到着したこともあったが、降車客がいないのが幸いだった。ようやく話を聞けたのは、大崎市民病院に通院するため、年数回利用するという男性だった。
 男性は「市民バスは運賃が一律100円だから安くていいが、長根で降りる人はめったにいない。定時運転のJR東北線で乗り継いだ方が安心できるからだと思う」と教えてくれた。
 栗原市民バスも200〜500円でタクシーに比べれば利用しやすい料金だ。しかし、自宅近くにバス停がある80代の男性は「バスは本数が少なく、遠方に行くときは乗り継ぎが必要で使い勝手が悪い。無料でも乗らない。高くてもタクシーを使う」と言い切る。
 「高齢者は視力や判断力が衰えたからといって、そう簡単に移動手段をマイカーからバスに切り替えない。人は便利には慣れても、不便には慣れない」。宮城大の徳永幸之教授(交通計画)はこう話す。
 マイカーがそれほど普及していなかった1960年代、人々はバスなど公共交通機関の時刻表に合わせて移動予定を決めた。モータリゼーションの進展とともに路線バスは廃れた。現代の高齢者の多くは運転免許証を持ち、マイカーで自由に移動する。

<両市 枠を越え>
 「もはや定時定路線のバスはマイカー世代に受け入れられない。バス利用者が少ないのは市民ニーズに合っていないから。運賃を下げてもニーズは満たせない」と徳永教授は指摘する。
 利用者を戸口から戸口まで送る予約乗り合いタクシー「デマンド交通」、スクールバス、福祉関係の移送サービス、有償ボランティア的な団体の協力などを、市民ニーズを満たせる形で複合的に組み合わせるべきだという。
 市域が広く、医療機関や商業施設が点在する登米、栗原両市はマイカー移動できる前提で街が出来上がっている。徳永教授は「両市は自治体の枠を超え、連携して市民交通について検討してもいいのではないか」と提案する。
(登米支局・本多秀行、若柳支局・横山寛、栗原支局・土屋聡史)


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2018年01月22日月曜日


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