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<仙台いやすこ歩き>(73)餅カフェ/曾祖母の味120年脈々

 いやすこ2018年のスタート。犬のようにくんくん鼻を利かせたいと思っていたら早速、「あの辺りに変わったカフェがあるらしいのよ」と画伯。早くも鼻が効いたらしい。あの辺りとは北山五山(仙台市青葉区)周辺。覚範寺の近くを歩き、懐かしい家並みになじんで立つ「マルホカフェ」を見つけた。
 どこが変わっているかというと、扉を開けるとショーケースには何と大福餅。メニューを見れば、ランチセットは「ドリンク・でんがく餅付き」とある。そう、ここは食事と和スイーツが楽しめる餅カフェなのだ。
 ランチタイムが間もなく終わると聞き、店主の穂積拓也さん(35)に話を伺うのは後にして、いやすこ始動。まず、3種類ある日替わりランチからパスタの「ベーコンとちぢみ雪菜のトマトソース」を注文。セットのでんがく餅は、ごま、あんこ、醤油(しょうゆ)、黒蜜きなこの四つからごま味を選び、ドリンクはオリジナルブレンドの日本茶をチョイス。ちなみにランチにはおこわ、エスニックなどもある。
 運ばれてきたパスタは、ちぢみ雪菜の優しい甘さが生きた旬パスタ。トマトソースもたっぷりで、ぱくつけば、口の周りにいやすこ印が付きそう。食後のでんがく餅と日本茶もおなかと心にすとんと落ち着く。「やっぱり日本人なんだ」「ほんと、ベストマッチで〜」。さらにお薦めスイーツの「マルホカフェ風ぜんざい」を追加。2人で半分こだ。
 イチゴ、バナナ、バニラアイスに餅が4個入った器に、何とその場で熱々の自家製あんこを掛けてくれる。「うわ〜っ」と思わず上がる歓声。アイスの小島があんこの中で溶けていく。口に入れれば滑らか、しっとり、もちもちー。今年初体験の幸せ和スイーツ。
 「あんこがあっさりしていて重くないのがいいね」と画伯。すると「あんこはつぶあん3割とこしあん7割のブレンドなんですよ」と穂積さん。自家製あんこのブレンドとはすごい! 東京で10年イタリアンの修行をし、下北沢のイタリアンレストランでは料理長を務めていたという穂積さん。生まれは餅屋さんだそうだ。
 「母方のルーツは120年続く餅屋。祖父の時代に独立したのが若林区連坊にある萩乃屋で、婿の父は2代目です。このでんがく餅は120年前に曾祖母がつくり出した餅なんです」
 そんな穂積さんだが、初めから餅カフェを考えていたわけではなかった。仙台に戻ってイタリアンの店をオープンするに当たり、店の個性を出したいと思った際、小さい頃から家業を手伝って餅をちぎったり丸めたりしていた記憶がよみがえった。
 「食べるのも好きで餅小僧だったんですよ」とにっこり。広い厨房の裏には、でんがく餅の120年変わらぬ味が出せるようにと餅工房も併設。今も変わらぬ餅小僧だ。
 イタリアンと餅が融合、いやいやそれだけではなかった。穂積さんの父方の祖父がお茶屋さんだったそうで、さっきいただいたブレンド茶も小さい時から飲んでいた影響が大きいようだ。新しさの中にも脈々と伝えられるこの地の味、今年もいやすこの鼻を利かせたい。

◎アズキ利用 数千年前から

 あんこの原料であるアズキはヒマラヤ南麓が起源で、日本では弥生時代の遺跡から出ており、日本人との付き合いも数千年に及ぶとされる。
 アズキは栄養の宝庫で、食物繊維、鉄分、ビタミンB群とともに血液サラサラ効果の高いサポニンや、抗酸化物質ポリフェノールを含むことでも知られる。紀元前5世紀頃の中国の薬物書『神農本草経』にも記載され、医薬品として用いられていた。日本でも江戸時代には脚気(かっけ)の改善・予防に使われたり、産後の肥立ちが悪い女性にはアズキがゆを食べさせていたといわれる。
 アズキに砂糖を加えた、今のようなあんこができたのは室町時代とみられている。ちなみにあんこは製あん方法によって「つぶしあん」「こしあん」「つぶあん」がある。つぶしあんはアズキを煮てつぶし、砂糖を加えて練り上げたもので、つぶあんは煮た粒の状態のアズキに砂糖を加えて練っていくものをいう。(参考文献/和菓子好き委員会あんこ部著「あんこ読本」PHP研究所)

 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。


2018年01月22日月曜日


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