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バーチャルろくろで陶芸 福島・浪江の窯元など開発 3Dプリンター活用し技と伝統後世に

開発した松永さん(右)と東さん=東京都港区

 ろくろを使うような手の動きをセンサーで読み取ってモニター上に再現し、3Dプリンターで器を制作することもできる「バーチャルろくろシステム Roquro」を、福島県浪江町に伝わる大堀相馬焼の窯元などが開発した。教育現場やイベントで活用が広がっているほか、後継者不足に悩む職人の技を後世に伝えることも期待されている。
 開発に携わったのは、窯元「松永窯」の4代目松永武士(たけし)さん(29)と、3Dプリント関連会社「X人の株式会社」の東信伍(しんご)さん(26)。職人の高齢化や後継者不足に加え、東京電力福島第1原発事故で大堀相馬焼の生産地が避難区域となったことで地域の伝統が廃れるのを防ぐため、技術をデータ化して残したいという思いがあるという。
 システムでは、装置の上に手をかざすと、センサーが手の形を認識し、ディスプレー上に手の形を表示する。その状態のまま手を動かすと、実際にろくろを回し、粘土をのばすように口を広げたり、すぼめたりして、器の形に整えることができる。表面の質感も、ごつごつとしたものから、滑らかなものまで段階的に調整ができる。
 現実の器作りと違って何度もやり直すことができるほか、読み取った器の形を、3Dプリンターを使って樹脂などで制作する際は、さまざまなサイズにすることもでき、東さんは「伝統の良さと新しい技術の融合が、すごく良い」と話す。
 職人の高齢化や後継者不足は大堀相馬焼に限らず、各地の伝統産業で課題となっている。将来的には、人や物の動きをデータ化する「モーションキャプチャー」と呼ばれる装置とも組み合わせ、陶芸家の手の動きを記録することも検討している。松永さんは「伝統的な技術を残していけば後継者の育成にもつながる。新しい視点による、ものづくりのヒントも生み出していきたい」と意気込んでいる。

[大堀相馬焼]福島県浪江町に300年以上前から伝わるとされる国指定の伝統的工芸品。疾走する馬の絵付けや、表面に細かく入った「青ひび」、「二重焼」と呼ばれる中空構造が特徴。産地の大堀地区は2011年3月11日の東京電力福島第1原発事故で避難区域になったため、事故前には20以上あった窯元の職人らが県の内外に散り散りとなった。今も立ち入り制限のある帰還困難区域に指定されているが、複数の窯元が避難先で作陶を続けながら、技術の維持と伝統の保護に取り組んでいる。


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2018年01月22日月曜日


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