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<気仙沼向洋高>「震災当時の姿をできる限り残す」旧校舎保存と伝承館着工 19年春の開設目指す

震災伝承館(中央)と南校舎(左)、北校舎(奥)の完成予想図
保存工事が始まった気仙沼向洋高の旧校舎

 宮城県気仙沼市は24日、東日本大震災の遺構とする同市波路上にある気仙沼向洋高旧校舎の保存に向けた工事と、敷地内に新設する震災の教訓を伝える「岩井崎プロムナードセンター・(仮称)震災伝承館」の建設を始めた。震災の風化を防ぐため、校舎は震災当時の姿をできる限り残す。両施設ともに、2019年3月の公開を目指す。

 保存対象は南校舎・北校舎(いずれも鉄筋4階)と、総合実習棟(鉄筋3階)、生徒会館(鉄筋2階)、屋内運動場(鉄筋平屋)。最上階の4階まで浸水した南校舎の一部や屋上を見るためのエレベーターを整備する。津波で3階に流れ込んだ乗用車を間近で見られる見学通路も造る。
 伝承館は鉄骨平屋(約1295平方メートル)で大型スクリーンがある映像ルーム(約90平方メートル)や防災教育に活用する体験・交流ルーム(約300平方メートル)などを備える。旧校舎保存や伝承館建設など総事業費は約11億8600万円で、国の復興交付金などを活用する。
 市は15年5月に旧校舎の保存を決定。当初は南校舎のみだったが昨年1月、解体予定だった北校舎など校舎全体に保存範囲を広げた。保存しない建物の解体や土台の撤去などがほぼ終了したのに合わせ、本体の工事に着手した。
 着工式には地元住民ら約50人が出席。関係者がくわ入れなどで工事の安全を祈った。菅原茂市長は「将来世代に向けて震災の経験を伝承する重要な施設になる」とあいさつした。
 旧校舎がある階上地区の復興に向けて活動する住民組織「階上地区まちづくり協議会」は、地元でワークショップを開くなどして、震災遺構を生かした活性化策を探ってきた。
 協議会は今年3月に「語り部部会」を発足させ、震災伝承の取り組みを強化する方針。部会の準備委員会委員長で、階上地区振興協議会の近藤公人会長(70)は「防災、減災の拠点として活用しながら、地域活性化にもつなげていきたい」と話した。


2018年01月25日木曜日


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