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<311次世代塾>第12回講座 災害公営住宅などを視察

生活再建の厳しい現実を語る長沼さん(左)=名取市の愛島東部仮設住宅集会所

 東日本大震災で起きたことに向き合う通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」の第12回講座が20日にあり、名取市の仮設住宅と仙台市太白区の災害公営住宅などを視察した。長期に及ぶ仮設暮らしを経て新生活を始めた元愛島東部仮設団地自治会役員の長沼俊幸さん(55)、あすと長町第3復興公営住宅自治管理組合会長の飯塚正広さん(56)から話を聴き、生活再建に向けた課題を考えた。

◎生活再建の支援薄く/元名取市愛島東部仮設団地自治会役員 長沼俊幸さん(55)

 津波で名取市閖上の自宅から家ごと流された。幸い家族は無事。小学校体育館の避難所と6年間の仮設暮らしを経て昨年7月、自宅を再建して閖上に戻った。
 古里に戻った安心感の一方で住宅ローンが80歳まで続く不安は大きい。全壊した家の残債が被災当時1700万円あり、それを返済しつつ約2160万円借りて家を新築した。この二重ローンは、世間では救済されていると思われているが誤解。高齢や健康不安から自宅再建を諦めた人は多い。人が家を建てて住むことから街の復興は始まるはずなのに、企業に比べて個人の生活再建への支援は薄いと感じる。
 仮設住宅は狭く、何をするにも家人と体がぶつかった。それが毎日続くと、要らぬけんかになる。人が長く暮らす場所ではない。
 小さなことでも一つ一つ改めないと、災害が起きた時にまた多くの人が同じ苦しみを味わう。戦後間もなくできた災害救助法を含め、何をどう見直すべきか皆さんも考えてほしい。

◎孤独死の防止課題に/あすと長町第3復興公営住宅自治管理組合会長 飯塚正広さん(56)

 仙台市太白区にあったあすと長町仮設住宅は約230世帯の大規模団地だった。被災前の居住地もさまざまで、まとめるのに苦心した。コミュニティーづくりの一環として、住民主体による高齢者らの見守りを始めた。行政や民間支援団体のほか病院や大学の協力も得て巡回し、救急車の出動件数が減る効果が出た。
 仮設でできたつながりも復興住宅に移るとまたバラバラになってしまう。せっかくのつながりを生かしたいと勉強会などを重ねた活動が実り、審査を経て、あすと長町復興公営住宅にグループ単位で入居できた。
 世帯主の平均年齢は69歳。高齢者、独居者をどう支え、孤独死をいかに防ぐか。復興住宅の現状は近未来の日本の縮図ともいわれており、住民や地域、行政の力量が問われている。
 復興住宅は今後家賃の引き上げが予定され、人によっては3倍になる。被災者のセーフティーネットとして、これでいいのか。災害救助法の抜本的見直しが必要ではないか。

◎受講生の声

<定期的に交流を>
 仮設住宅団地に住む人たちがどこまで親しくなるべきか、悩ましく感じました。支え合った年月が長いほど仮設を出るときの喪失感が大きいからです。仮設でつながった人が定期的に交流できる機会が必要だと思いました。
(仙台市青葉区・東北福祉大3年・21歳)

<若者の力が重要>
 高齢者の孤独死などを防ぐため仮設団地や復興住宅で行われてきた住民主体の見守り活動に、感銘を受けました。顔の見えるコミュニティーを今後も末永く継続させるには、若い世代の関わりが重要だと感じました。
(仙台市太白区・尚絅学院大2年・22歳)

<救助法の検証を>
 災害救助法が現代の暮らしに合っていないことを初めて知り、考えさせられました。被災者が困ったことを検証し、改善に生かしてほしいです。昭和三陸津波の石碑も見学し、災害を伝える大切さを学びました。
(富谷市・宮城教育大3年・22歳)

[メモ]「次世代塾」は、河北新報社などが震災の伝承と防災啓発の担い手育成を目指して企画した年15回の無料講座。次回は2月17日。連絡先は同社防災・教育室=メールjisedai@po.kahoku.co.jp
 運営する311次世代塾推進協議会の構成団体は次の通り。河北新報社、東北福祉大、仙台市、東北大、宮城教育大、東北学院大、東北工業大、宮城学院女子大、尚絅学院大、学都仙台コンソーシアム、日本損害保険協会、みちのく創生支援機構


2018年01月26日金曜日


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