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<杜の都のチャレン人>花開け、中小企業の技術 「あと一歩」の技術実用化させる「現代の花咲かじいさん」

「製品の実用化によって開発者は自信を持ち、意欲的になる。企業のマインドもグッと上がる」と話す堀切川教授。ニックネームは「ドクターホッキ−」

◎「御用聞き型企業訪問」で地方創生目指す 堀切川一男さん(61)

 入院患者用の耐滑サンダル、さくらんぼ種取り機、仙台づけ丼のたれ−。仙台市青葉区の東北大青葉山キャンパス。研究室に並ぶユニークな製品群は、いずれも地域の経営者との地道な対話から生まれた。
 各地の下請け型中小企業に自ら出向き、抱える課題を見つけ、解決策を助言する「御用聞き型企業訪問」。東北大教授の傍ら、仙台市地域連携フェロー就任(2004年)で始まった活動は、隣県の山形、福島に拡大。17年末で訪問企業約400社、事業化件数は約140件に上る。
 医療用品から工業製品、食品まで、専門分野を超えてあらゆる業種にアプローチする。実用化まであと一歩のところにある技術を探り出し、開花させる。「現代の花咲かじいさんです」と笑う。
 短時間で経営トップの夢や信条を共有し、相手の専門外の視点から、その場で解決策を提案する。「毎回が真剣勝負」だ。
 中小企業との関わりは、山形大工学部助教授時代。長野五輪ボブスレー競技で日本代表が使用した「超低摩擦ランナー」や、米ぬかを原料とした硬質セラミックを開発。社会に役立つものを生み出す意欲に火が付いた。
 自社製品開発の最大の利点を「下請け仕事の増加」という。開発によって向上した技術力を、発注側は製品を介して理解し、より高度なレベルの仕事を提案するようになる。要求をクリアすることで、企業の収益は増加する。「自社製品は格好の技術PRです」
 「魅力的な自社製品を作れば、若者が注目する。優秀な人材が集まる雇用環境が生まれ、優れた人材は地域に活力ある企業を作り上げる」と強調する。究極の目標は「ものづくりによる地方創生の実現」だ。「人間の生活や生命に密着したライフサポートテクノロジーで、日本から世界に先駆けた製品を作り出していきたい」(や)

[ほっきりがわ・かずお]56年八戸市生まれ。東北大大学院工学研究科修了。専門は摩擦・摩耗・潤滑研究。2017年、内閣府の産学官連携功労者表彰で科学技術政策担当大臣賞(地方創生賞)を福島県知事らと受賞。


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2018年01月27日土曜日


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