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<カンボジア育蹴記>着実な進歩 多様性を受け入れ変化

プノンペン市内で行われたU−17カンボジアフットボールアカデミーの親善試合で、最後の指揮を執った後、選手たちと写真に収まる井上さん(最後列中央)=21日
井上和徳(いのうえ・かずのり)仙台大大学院修了。ジェフユナイテッド市原育成部仙台スクールでの指導を経て、ベガルタ仙台の前身・ブランメル仙台ジュニアユース、ベガルタ仙台のスクールコーチなどを歴任。ベガルタ仙台管理部付。石巻市出身。46歳。

 ベガルタ仙台職員で、2016年2月に日本サッカー協会アジア貢献事業海外派遣コーチに就任し、カンボジアで若手選手の育成に当たる井上和徳さん。今回が最後の「育蹴記」となります。



 私は今月末で2シーズンのカンボジアでの指導から退きます。振り返ってみると、一昨年はU−16(16歳以下)代表チームで初の東南アジア選手権4強に進出しました。昨年はU−19代表(19歳以下)チームでアジア・サッカー連盟(AFC)のU−19予選グループ2位と、アジア最終予選進出まであと一歩に迫るようになり、強豪国ではありませんが着実な進歩を感じています。

 若い世代の代表は、多くが寄宿制のナショナルフットボールアカデミーに所属する選手たちで構成されており、このチームを指導していたのも私です。つまり、私には代表チームを日常的に指導できる環境が準備されていました。
 2014年のナショナルアカデミー創設以前は定期的に活動している育成年代チームは少なく、大会も整備されていませんでした。16年からカンボジアサッカー連盟は当時U−16のナショナルアカデミーを国内2部リーグに参戦させ、大人のリーグ戦で強化を図りました。これが若い世代の代表強化につながりました。

 現在、カンボジアでは寄宿制のナショナルアカデミーとは別に、全国25州に自宅から通えるアカデミーを設立中です。さらに各州のアカデミー同士のリーグ戦も整備。突貫工事で急速な環境整備を図っています。近い将来、カンボジアがアジアの中でも存在感のあるサッカー国になっていくと確信しています。
 この2シーズン、カンボジア人選手と過ごすことにより私が成長させられました。何を一番学んだのか。それは多様性を受け入れることの重要性です。日本人コーチから刺激を受け変化するカンボジア人選手、あるいはカンボジア生活による私自身の心境の変化など、異なる何かを受け入れ、良い意味で変化していくことが人の成長を加速させるものだと感じました。
 難しいことも多々ありましたが、とても刺激的で素晴らしい毎日でした。言葉や文化の違いがありながらも同じ目標に向かう。そこに生まれる感情は日本にとどまっていたら体感できなかったものだと思います。
 お別れは寂しいですが、彼らとは世界のどこかで再会できるはず。それがサッカーです。


2018年01月27日土曜日


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