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<原発事故>避難指示経験した3町村、日本酒造り進む 地元の新たな特産品に

完成した「天の希」の出来栄えを確かめる福島県富岡町商工会の山本会長(右)ら

 東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た経験がある福島県内の自治体で、地元産米を使った日本酒造りが相次いでいる。昨年春の南相馬市に続き、今月下旬以降は富岡町と楢葉町、川内村の酒が発売される。地元は特産品としてアピールし、営農再開支援や風評払拭(ふっしょく)につなげたい考えだ。
 新たに発売される3町村の日本酒は図の通り。いずれも会津地方の酒蔵会社に醸造を依頼した。
 一部を除く避難指示が昨年春に解除された富岡町では、商工会が中心になって取り組む。名称は「天の希(き)」(純米吟醸)。使用した県オリジナルの主食用米「天のつぶ」と、「希望」「希少」から名付けた。
 楢葉町の「楢葉の風」(純米大吟醸と特別純米)は町や商工会などが事業を進める。2015年9月に避難指示が解除された町に「新しい風を吹かせよう」と命名した。
 川内村は16年6月に避難区域が解消した。「歸宴(かえるのうたげ)」(純米吟醸)は、村内に繁殖地がある「モリアオガエル」に由来。避難者の帰村への願いも込めた。
 使用するコメは楢葉、川内とも県開発の酒造用品種「夢の香」。川内村では昨年5月、復興支援で村と連携する福島大の学生約50人が苗を植えた。
 富岡が使った「天のつぶ」は、ふるさと生産組合が昨年10月に収穫した。組合は14年からコメの実証栽培を続け、安全性を確かめてきた。
 各地域ともに発売後に期待を寄せる。富岡町商工会の関係者らは今月11日、喜多方市の酒蔵会社で、フルーティーな味わいに仕上がった酒の味を確かめた。
 山本育男商工会会長は「最高の出来栄え。富岡のコメでこれだけいい酒ができてうれしい。まずは富岡の産品としての知名度を高めたい」と意欲を見せた。
 楢葉町の担当者は「コメ作りを通じ町の原風景を取り戻すとともに、特産品で町の現状を発信したい」と話す。原発事故の風評懸念で作付けが増えた飼料米から、食用米への転換も狙う川内村は「新酒をブランドとして育てていく」と意気込む。
 南相馬市では昨年3月、市や市内の酒販店による南相馬地酒生産推進協議会が純米酒「御本陣」を発売した。


2018年01月28日日曜日


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