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<東北の本棚>内視鏡診断で道を開く

逆境の中で咲く花は美しい 工藤進英 著

 大腸がん診療と内視鏡診断の世界的権威として知られる著者が、自身の経験を基に人生哲学をつづった。
 四十数年前、外科医としてキャリアをスタートさせた著者は、当時黎明(れいめい)期だった大腸がん診断・治療の世界に飛び込む。畑違いの内科、しかも当時は傍流と言われた内視鏡検査を専門とすることで、はみ出し者のレッテルを貼られた。
 異端の道を選んだのは「大腸がんで患者を死なせない」という信念から。寝食を忘れて研究に没頭した結果、秋田赤十字病院勤務時代に「陥凹(かんおう)型がん」が進行がんの原因だと突き止めた。「手に負えないものに挑戦する勇気を持ったとき、プロフェッショナルへの道を一歩踏み出す」。実感を込めて著者は語る。
 著者の功績は「大腸がんはポリープががん化したもの」という定説を覆しただけではない。今や世界中の医師が著者の元で研さんを積もうと集まり、医療機器メーカーのオリンパスと開発した拡大内視鏡は世界シェアの約8割を占めるという。
 「目的に向かって継続することがプロフェッショナルとしての成功につながる」と著者は説く。現状に満足することなく、現在は人工知能(AI)を使った自動診断にも取り組んでいる。
 「自分の人生を生きよう、あなたの人生だから」。開拓者からのエールは力強く、温かく心に響く。
 著者は1947年秋田県西仙北町(現大仙市)生まれ。昭和大医学部特任教授や同大横浜市北部病院消化器センター長、工藤胃腸内科クリニック(秋田市)の特別顧問などを務める。
 幻冬舎03(5411)6222=1296円。


2018年01月28日日曜日


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