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仙台箪笥の粋、新技術が守る 鉄たたいて文様生み出す「鍛造」機械化に成功

機械化した鍛造で完成させた装飾金具の仙台箪笥

 仙台箪笥(たんす)製造販売の欅(けやき)産業(宮城県利府町)が、仙台箪笥を象徴する装飾金具の製造工程で、職人が手作業で鉄をたたいて文様を生み出す「鍛造(たんぞう)」の機械化に成功した。仙台箪笥の装飾金具は近年、職人が減ったことから本来の鍛造ではなく、鋳型に合金などを流し込んで造る「鋳造(ちゅうぞう)」が増えている。機械化した鍛造の装飾金具は手作りの風合いが十分にあり、仙台箪笥の伝統を守り生産性も向上できると期待される。

 国指定伝統的工芸品の仙台箪笥は江戸時代に製造が始まった。最大の特徴は引き手や錠前に取り付ける豪華な装飾金具で、専門の職人が高度な鍛造技術で竜や唐獅子などを造形する。箪笥1さおの金具を完成させるまで数カ月かかる。
 一方、職人は高齢化と後継者不足が著しく、宮城県内でも数人しかいなくなった。全ての箪笥の装飾金具を鍛造することができなくなり、代用として鋳造が広まった。
 本来の装飾金具は鉄製だが、鉄は鋳造では竜などの立体的で複雑な文様を造形できない。このため材料を合金や樹脂に換えるしかなかった。
 欅産業は「職人が減って鍛造の技を残すのは困難だが、鋳造では仙台箪笥の伝統が廃れる」と危機感を抱き、20年ほど前から新たな技術開発に着手した。
 同社が県外の金具製作会社と試行錯誤した結果、職人の手による鍛造の装飾金具から各パーツごとに複数の金型を作製し、金型を何度も取り換えながら鉄板をプレスして成形する技術を生み出した。
 細部は手作業で修正、調整する。開発に当たり、職人が一つの文様を造るのに何十種類ものタガネを使い分けて完成させる鍛造の技法にヒントを得た。
 同社は、今年の初売りから機械化した鍛造の装飾金具を付けた仙台箪笥の取り扱いを始めた。
 大原良光社長は「仙台箪笥は100年持つと言われるが、衝撃や耐久性に優れる鉄製の装飾金具があってこそ。職人の手作りが最も素晴らしいが、新技術による金具も遜色ない」と語る。


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2018年01月29日月曜日


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