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<まちかどエッセー・アサノタケフミ>育てた思いが実を結ぶ

[アサノタケフミさん]1983年生まれ。宮城県塩釜市出身。シンガー・ソングライター、ラジオパーソナリティー。高校3年生の時、NHKのど自慢多賀城市大会で優勝したのを機に、音楽活動を本格的に開始。塩釜市のコミュニティーFMベイウェーブで月〜金曜の毎日正午から、1時間の生放送番組「ラジカルト!」を担当。

 カンカン照りでアスファルトからかげろうが上る炎天下。それでも止めずにギターをかき鳴らす。
 10年前、静かになってしまった街に少しでも元気をとの思いから、月に1度、商店街の中心にある広場で仲間とライブをすることにした。かっこよく言えば町おこしのつもりで始めたのだが、無名の僕たちの演奏に耳を傾ける人は、ほとんどいなかった。
 そんな中、優しく耳を傾けてくれたのは商店街の皆さん。最初は、何をやっている?と腕を組みながら不思議そうに見ていたのだが、何度か演奏しているうちに「お疲れさま」と声を掛けてくれ、差し入れをしてくれるようになった。
 しばらく続けたが、思うような結果を出すことはできなかった。しかし、その経験は今生きている。
 少し話はそれるが、僕は、海苔(のり)、お米、みそ、マグロ、牡蠣(かき)、梨、アマモ、ワカメなど、近隣地域の名産品などをテーマに、ご当地ソングを作り続けている。
 きっかけは単純。塩釜のラジオ局ベイウェーブで番組作りをしているとき、「みんなが題材にしないようなものをテーマに、ご当地ソングをいっぱい作ったら楽しいよね?」と、仲間と盛り上がったのが始まりだ。
 中でも「海苔」の存在が大きい。塩釜市には浦戸諸島という、海苔や牡蠣の養殖が盛んな島々がある。ここで行われた、被災した養殖海苔を応援するイベントのお手伝いすることになったときに、自主的に応援ソングを作ることにした。
 完成した曲を僕のラジオ番組でオンエアしたところ、リスナーの反響が大きく、CD化を希望する声まで届くようになった。カンカン照りの中で歌ったころと変わらぬ思い、地元を少しでも盛り上げたいという気持ちが曲に乗り移ったのかもしれない。数年かかってしまったが、海苔の応援歌はCD化を果たした。
 商店街の皆さんや、イベントを成功させようと集まった多くのボランティアの方々、そして、曲を一緒に作ったラジオ局の仲間たちに感謝を込めて、これからも歌い続ける。
(シンガー・ソングライター)


2018年01月29日月曜日


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